
フリードリヒ・メルツ独首相がウクライナに対し、正式加盟前の暫定的な地位として、欧州連合(EU)条約に前例のない「準加盟」にあたる枠組みを提案していたことが分かった。EU首脳会議などへの出席は認められるものの、議決権は持たない内容となっている。
欧州メディアによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこれに反発し、EU首脳らに送った書簡で懸念を表明したという。
ゼレンスキー大統領は「ウクライナがEUに加わりながら発言権を持てないのであれば不公平だ」とし「今こそ完全で意味のある形でEU加盟を進めるべき時だ」と訴えた。
書簡はウルズラ・フォンデアライエンEU委員長、アントニオ・コスタEU首脳会議常任議長、さらにキプロスのニコス・クリストドゥリデス大統領に送付された。
ゼレンスキー大統領は「ウクライナは欧州防衛の最前線に立っている」と強調し「欧州の一員として公正な待遇と平等な権利を受ける資格がある」と主張した。
これに先立ち、メルツ首相はEU首脳部に宛てた別の書簡で、この準加盟案を提示していた。書簡では「各加盟国での批准手続きや政治的な複雑さを考慮すると、短期間で正式加盟を実現するのは困難だ」と説明している。
この構想では、ウクライナはEU首脳会議や閣僚級会合への出席が認められる一方、投票には参加できない。また、欧州委員会や欧州議会にも議決権を持たない代表を派遣する仕組みが想定されている。
さらに、メルツ首相はEU条約42条7項を適用し、ロシアからの軍事的脅威に備えた安全保障上の保証を与える案も盛り込んだ。
ただし、準加盟という地位はEU条約上に明文化されておらず、メルツ首相自身も書簡でその点を認めている。法的根拠を見出せるとの立場を示しているものの、ブリュッセルの外交筋からは合法性や実現可能性を疑問視する声も上がっている。
フランスは当初、この構想の初期案に一定の支持を示していたが、最終的には共同署名を見送った。スロバキアのロベルト・フィツォ首相も反対姿勢を示している。
ゼレンスキー大統領は先月、キプロスで開かれた非公式EU首脳会合でも同様の妥協案を拒否した。「ウクライナ国民の犠牲を象徴的な扱いで済ませることはできない」と述べ、完全な正式加盟のみが目標だと改めて強調した。
















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