
日銀(日本銀行)が、金融正常化の過程で進めてきた国債買い入れの縮小を2027年春に一時停止する案を検討していると、日本経済新聞が10日に報じた。長期金利の上昇が続くなか、国債市場の安定を重視する措置と判断される。
日本経済新聞によると、日銀は15~16日の金融政策決定会合で国債買い入れの減額計画を点検し、2027年4月以降は減額を一時停止する方向で調整している。
当初、日銀は市場機能の回復を目的に、国債の保有規模を継続的に縮小する計画だった。しかし足元では、長期金利の急騰が新たな負担として浮上した。
10年物国債利回りは先月、一時年2.8%を記録し、1990年代半ば以降で最高水準まで上昇した。米国発の金利上昇圧力に加え、政府の財政拡大路線、中東情勢の悪化に伴うインフレ懸念が重なり、債券市場の変動性が高まったためだ。
日銀の植田和男総裁も最近の講演で、「国債市場が本来期待される機能を回復しつつある」と評価した。これは、これまで進めてきた量的引き締め(QT)の当初目標が相当程度達成されたとの見方を示したものと解釈される。同時に、植田総裁は「国債を吸収する必要がある民間投資家のポートフォリオ調整には時間がかかる」とも述べ、市場安定に向けた政策転換の可能性をにじませた。
日銀が国債買い入れの縮小を停止しても、金融正常化そのものを放棄するわけではない。過去に購入した国債の満期償還額が新規買い入れ額を大きく上回るため、保有国債は今後も年間40兆~50兆円ずつ減少すると見込まれる。市場への衝撃を抑えながら、正常化路線を維持する折衷案という位置づけになる。
政策金利の引き上げも同時に進められる見通しだ。日銀は今回の会合で、政策金利を現行の年0.75%から1.0%へ0.25ポイント引き上げる案を有力に検討している。利上げが決まれば昨年12月以来6カ月ぶりの追加引き上げとなり、政策金利が1%に達するのは1995年以来31年ぶりとなる。
日銀内では最近、物価上昇圧力が想定以上に強いとの判断が広がっている。中東情勢の不安定化に伴うエネルギー価格の上昇と、企業による価格転嫁の拡大が重なり、基調的な物価上昇が続いているためだ。
日銀が独自に算出する基調的な物価指標は4月に2.8%上昇し、前月から伸び率が拡大した。
市場では、日銀が利上げとQTの速度調整を並行する「二正面戦略」を選ぶとの見方が強まっている。インフレには厳しく対応しつつ、長期金利の急騰による金融市場への衝撃を最小限に抑える狙いがあるとみられる。
ただし、政府が積極財政を進めるなか、国債発行が拡大する可能性は依然として残っている。このため、長期金利の上昇圧力は容易には消えないとの見方も出ている。















コメント0