米国のドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イランを屈服させれば中東の勢力図を塗り替えられると信じていたとされる。しかし、予想とはまったく異なる方向へ安全保障の構図が再編されていると、BBCが9日(現地時間)に報じた。イランのイスラム政権は崩壊せず、むしろ戦争と小康状態を繰り返す長期消耗戦、いわゆる「永続的危機」(パーマクライシス)に陥るリスクが高まっていると分析されている。

BBCは「イラン政権はトランプ大統領とネタニヤフ首相が想定していたよりも、はるかに崩しにくい相手だと判明した」とし、「両首脳の判断は誤りで、その結果に対する制御力さえ失った」と指摘した。
BBCはこの日、イランが米軍のアパッチ攻撃ヘリを撃墜したことを象徴的な例として挙げた。イラン指導部が依然として米国に打撃を与える能力を持ち、戦争で主導権を握る意志を曲げていないことを示しているという。イランにとって勝利とは、政権の存続に加え、世界の主要海上交通路であるホルムズ海峡への支配権を認めさせる形で抑止力を強めることを意味すると同局はみている。
トランプ大統領はイランとの合意によってホルムズ海峡の通航を再開させ、濃縮ウランの備蓄や核開発計画などの核心議題を扱う長期交渉の枠組みを整えることに期待を寄せてきた。米国内で今回の戦争への支持が広がっていないだけに、トランプ大統領は「勝利」と位置づけられる出口を求めているものの、状況は容易ではない。
BBCは、両首脳が古くからの教訓を改めて学んでいると指摘した。戦争を始めるのは容易でも、明確な勝利で終わらせるのは難しいという教訓である。2月末にイランとの戦争へ踏み切った際、両首脳はそれぞれ映像声明を出し、1979年のパフラヴィー朝崩壊以降続くイラン政権の終焉が迫っているかのような口調で、歴史的転換を予告した。
トランプ大統領は短期間での勝利を見込んでいたという。米軍が瞬く間にベネズエラのニコラス・マドゥロ前大統領夫妻を拘束してニューヨークの刑務所へ送り、従順な後任をカラカスに据えた「教科書的な政権交代」を満足げに見守ったトランプ大統領は、イラクやアフガニスタンのような「終わりなき戦争」とは異なり、イランも容易に制圧できると考えていた。世界最強の米軍と「中東の超大国」イスラエルを踏まえれば十分だとの計算もあった。
しかし、両首脳は約50年にわたり脅威に対抗し、生き残る仕組みを築いてきたイラン政権の回復力と非情さ、狡猾さを過小評価していたというのがBBCの見方である。イラン最高指導者と側近を排除すれば政権が内部から崩壊すると見ていたが、現実は違った。
イランの新たな指導層は、前任者たちと同様にイデオロギー色が強いうえ、はるかにリスクを取る姿勢を見せていると同局は伝えた。彼らはレバノン戦争と湾岸戦線を連動させる戦略を中核に据えている。イスラエルがレバノンへの爆撃を続け、ヒズボラを壊滅させようとするなら、いかなる合意も期待できないというのが、イランがトランプ大統領に送り続けている一貫したメッセージである。
実際、トランプ大統領は「合意が迫っている」との理由で、イスラエルによるベイルート攻撃計画を制止した。BBCはこれについて、トランプ大統領がレバノン情勢と湾岸情勢の連動を事実上受け入れたと解釈した。ネタニヤフ首相はこうした連動を「容認できない」として反発したが、トランプ大統領が戦争終結という米国の利益を、ネタニヤフ首相の戦争継続への意志より優先させるとの見方もある。
3月に閉鎖されたホルムズ海峡は、米国とイスラエルによる攻撃後も依然として封鎖されたままだ。BBCは「画期的な外交的突破口がない限り、近いうちに通航が再開される可能性は大きくない」との見通しを示した。これは、高水準の国際原油価格と、それに伴う世界経済・エネルギー危機が相当期間続く可能性を示唆するものだ。
一方、米中央軍(CENTCOM)はこの日、アパッチ攻撃ヘリ撃墜への報復として、イランを標的にした空爆を開始したと発表した。ホルムズ海峡付近にあるイランのレーダー施設や防空網などが標的になったと伝えられる。















コメント0