
イラン軍が20日(現地時間)、ホルムズ海峡の再封鎖を宣言したことで、米国とイランの戦争終結に関する了解覚書(MOU)は、履行開始直後から危機に直面した。それでも両国の代表団は翌21日、スイスで初の後続協議を開始し、対話局面はひとまず維持された。
イラン軍を統合指揮するハタム・アル・アンビヤ中央軍事司令部は20日、声明で「MOU第1条の不履行など、米国による明白な信義誠実の原則違反と約束不履行への対応であり、イスラエル政権がレバノン南部で合意を絶えず破り、撤退を拒んでいることを受け、ホルムズ海峡を通航する船舶について海峡封鎖を宣言する」と発表している。
MOU第1条には、レバノンを含む全戦線で軍事作戦を停止する内容が盛り込まれている。イスラエルがレバノン南部への空爆を実施したことを受け、イランが問題を提起した形だ。イスラエルは前日の19日、ヒズボラとの停戦に合意していたが、先制攻撃を理由に20日午前、攻撃を実施した。レバノンの民間防衛当局は同日、16人が死亡したと明らかにした。
一方、米軍は米東部時間の同日正午時点で、ホルムズ海峡は封鎖されていないとの認識を示している。中東地域の米軍を管轄する米中央軍のティム・ホーキンス報道官(米海軍大佐)は同日、ロイター通信に「イランはホルムズ海峡を統制していない」と述べた。
イラン軍の再封鎖宣言に対し、米国のドナルド・トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に「停戦期間である60日間、ホルムズ海峡では通行料は課されず、60日が満了した後も料金を課すことはない」と投稿し、反論した。ただ、トランプ大統領は「合意が最終的に成立しない場合は例外だ。米国が中東諸国の守護天使として提供したサービスの対価として、過去・現在・将来にわたり発生する費用を回収する目的で、それ(通行料)が米国によって、米国のために課される場合がある」とも記している。発言の正確な背景は明らかになっていないが、協議が決裂すれば米国が逆に通行料を徴収する可能性を示し、イランへの圧力を強めたものとみられる。
ホルムズ海峡を巡る混乱の中でも、イランの交渉代表団は米国との協議に向け、スイスに到着した。MOUを受けた後続協議を継続するという対話方針は維持された。
イラン側の交渉代表団は、イランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長が率いる。イランのアッバス・アラグチ外相のほか、同国のアブドルナセル・ヘンマティ中央銀行総裁、アリ・バゲリ・カニ最高国家安全保障会議国際問題担当事務次長、ハミド・ボルド石油副大臣らも参加しているとみられる。
米国側の交渉代表団を率いる米国のJ・D・バンス副大統領も、スイスに到着した。会談会場となるスイス・ビュルゲンシュトック・リゾートで、バンス副大統領は会談直前、「イラン指導部が長期的に核兵器開発への野心を放棄する意思を持つなら、米国はイランとの関係を根本的に変える準備ができている」と強調した。
これに先立ち、バンス副大統領は米FOXニュースとのインタビューで、米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使と、トランプ大統領の娘婿である米国のジャレッド・クシュナー氏が、すでにスイスに到着していると説明している。
米CNNは、レバノン問題を協議するための緊急会議がスイスで開かれる会談日程に追加され、この議題が最初に扱われる見通しだと、外交官の話として報じている。
イラン外務省のエスマイル・バガイ報道官は同日、SNS「X(旧ツイッター)」に「レバノンを含む全戦線で戦争終結が履行されない限り、最終合意に向けた交渉段階に入ることは不可能だ」と投稿し、明確に一線を画した。
これに対し、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は直ちに声明を発表し、ヒズボラの脅威に対するイスラエル軍の対応に制限はないとした上で、「イスラエル軍はレバノンの安全地帯から決して撤退しない」と反論している。

















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