
米国とイランの終戦了解覚書(MOU)交渉を巡り、イスラエルの妨害が続く中、イスラエル国内では米国のドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の対立が公然の世論戦に発展する様相だ。
19日(現地時間)、親ネタニヤフ勢と分類されるイスラエル紙のイスラエル・ハヨムはトランプ大統領に対し「あなたはイスラエルを裏切り、米国の恥となる大統領として記憶されるかもしれない」と非難し、トランプ大統領がイスラエルの追加軍事行動を阻止しイランと妥協したと批判した。
同紙はトランプ大統領の最大の政治支援者の一人だった米カジノ王のシェルドン・アデルソン氏の妻ミリアム・アデルソン氏が所有している。ミリアム氏は夫同様、トランプ大統領と米共和党の熱烈な支持者として知られる。彼女は2024年大統領選で約1億ドル(約161億5,800万円)を寄付し、共和党最大の政治資金提供者の一人とされた。
さらにアデルソン夫妻は米トランプ政権1期目からエルサレムにある米大使館の移転やゴラン高原に対するイスラエルの主権認定などを強く支持し、トランプ政権の親イスラエル政策に影響力を持ったと評価されてきた。
トランプ大統領の強力な政治的・経済的支援者だったアデルソン氏のメディアがトランプ大統領を「裏切り者」と非難する社説を掲載したことは、トランプ大統領のイラン政策を巡り親イスラエル陣営内部にも亀裂が生じていることを示す象徴的な兆候と解釈される。
イスラエル・ハヨムの社説掲載後、トランプ大統領はあえてイスラエル総選挙への介入可能性を示唆し、ネタニヤフ首相を牽制した。彼は20日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「ネタニヤフ首相の揺らぐ再選の機会、トランプ大統領がカードを握る」という見出しの米メディア記事を共有した。
米メディアのジャスト・ザ・ニュースは、トランプ大統領が今年のイスラエル総選挙でネタニヤフ首相を支持する意向を示したが、イスラエルが米国とイラン間で締結されたMOUに違反した場合、これを交渉カードとして活用できるという内容を伝えた。
トランプ大統領は以前、イスラエル公共放送のカンに「(イスラエル総選挙に)誰が出馬するか見極める必要がある。ネタニヤフ首相とは良好な関係を維持しているが、彼はもう少し理性的であるべきだ」とし、選挙介入の可能性を示唆していた。
ジャスト・ザ・ニュースはこの発言を引用し、「トランプ大統領が戦争終結、ホルムズ海峡の再開放、原油価格の安定を核心と見なす今回の米国・イラン合意をネタニヤフ首相が引き続き拒否または妨害しようとすれば、トランプ大統領を失望させ、ネタニヤフ首相への支持撤回につながるリスクがある」と分析した。
トランプ大統領とネタニヤフ首相の対立にイスラエルの有力メディアまで「参戦」し、世論戦が拡大する中、イスラエル国民は今回の戦争の勝者として、イスラエルではなくイランを挙げた。
イスラエルのヘブライ大学とアガム研究所が17日から20日まで17歳以上のイスラエル人3,644人を対象に共同世論調査を実施した結果、回答者の92.1%が米・イスラエルとイラン間の戦争及び米・イラン終戦合意の勝者としてイランを選んだ。今回の戦争がむしろイスラエルの安全保障を長期的に弱体化させたとの回答も82.9%に達した。

特にネタニヤフ首相の今回の戦争評価を信じないという回答は72.5%を記録し、政府に対する不信感が顕著に表れた。以前、ネタニヤフ首相は「イスラエルが今回の戦争で相当な利益を得て、実存的な脅威を排除した」と主張していた。
作戦遂行に関しても否定的な評価が大勢を占めた。回答者の87.8%はイスラエル軍が当初公言した目標達成に失敗したか、一部しか達成できなかったと評価し、ネタニヤフ首相の作戦管理など職務遂行に関しても56.4%が不十分だったか失敗したと回答した。
ただし、回答者の48.2%はトランプ大統領との外交的衝突を覚悟してでもレバノンの親イラン武装組織ヒズボラに対する大規模な軍事作戦を再開すべきだと答えた。これはイスラエルの安全保障上の不安が高まる中、追加的な軍事行動に賛成する世論として解釈される。
一方、イスラエル政府と軍当局内部では対ヒズボラ戦争を米国とイラン間の終戦交渉ではなく、イスラエルとレバノン政府間の直接交渉で終結させるべきだという主張が出ているという。米国がイランの要求を受け入れ、イスラエルに即時終戦と撤退を迫る前にレバノン政府と直接交渉し、イスラエルに有利な条件を確保しようという狙いだ。イスラエルとレバノンは23~25日に米ワシントンD.C.で米国の仲介により交渉に臨む予定だ。













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