
アメリカとイランが終戦交渉のための基本合意書(MOU)に署名し、初の後続交渉を進める中、アメリカがイランの海外凍結資産解除の条件としてアメリカ産大豆の購入を求める構想が、アメリカ国内でも困惑を招いている。
アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領は22日(現地時間)、イランとの交渉を終えスイスで記者会見を行い、イランの海外凍結資金の用途をアメリカ産農産物の購入に制限する方針を推進すると明らかにした。
トランプ大統領もこの日、ホワイトハウスで「我々が進めている措置の一つは、凍結解除された資金を食料購入に使用することだ」と述べ、「この食料は全てアメリカを通じて我々の農民から購入される」と語った。
続けて「トウモロコシ、大豆などイランが必要とする全ての品目が我々の農家から購入される予定で、我々の農家は非常に喜んでいる」とし、イランの凍結資金がアメリカに流れ込むことを強調した。

しかし、この方針に対してアメリカの一部農家からは非現実的だと困惑の声が上がっている。
イリノイ州に暮らす3代目農家のジョン・バートマンさんは、サウスチャイナ・モーニング・ポストに「中国をはじめとする主要輸入国がアメリカ産大豆を主に豚用飼料として購入している。しかし、イスラム教徒は豚肉を食べない」と指摘した。
彼は「人口の98%がムスリムである国が、代表的な豚の飼料である大豆製品の主要購入国になると信じているのなら、極めて甘い見通しだ」とし、今回の措置が事実上、11月の中間選挙を前にした政治的な行動に過ぎないと一蹴した。
続けて「トランプ大統領は自らの権力基盤を維持するためなら何でも言う人物だ」とし、「トランプ大統領が本当に農家を支援し、世界の最貧困層に食料を供給したいのなら、アメリカ産農産物を大量に購入するアメリカ資金支援の国際食料援助プログラムを削減しなかっただろう」と付け加えた。
イランの豚肉国内市場の状況は?
イラン人口の約99%はムスリムで、イスラム法(シャリーア)により豚肉の摂取が禁じられている。豚肉に対する需要がないため、商業的な豚の飼育(養豚業)もほとんど発展していない。
実際、世界の養豚専門統計プラットフォーム「Pig333」が集計した国別統計によれば、イランの豚飼育頭数、豚肉生産量、輸出入規模はほとんど「0」または「集計するに値しない規模」と表示されている。

国際連合食糧農業機関(FAO)もイランの主要家畜として羊、山羊、牛を挙げており、国家畜産状況で豚は主要畜種として含まれていない。
一方、トランプ大統領が言及したアメリカ産大豆はほとんどが家畜飼料として消費されている。特に大豆を圧搾して作られた大豆粕は、豚と鶏の飼育に最も多く使用されるタンパク質飼料だ。豚を除いた牛や羊、鶏の飼育にも大豆粕が使用されるが、アメリカのように大規模な養豚産業がある国に比べると大豆の需要は限られている。
したがって、アメリカの立場からは養豚産業がほとんどないイランが大規模な輸出市場に成長することは難しいとの分析が出ている。
トランプ政権がイラン凍結資金の用途を制限する背景
イランがトランプ政権の提案を受け入れるかどうかは不透明だが、トランプ政権のこの方針は解除された凍結資金がテロ支援につながる可能性があるとの懸念を排除しつつ、アメリカ産農産物の輸出拡大効果を狙ったものと解釈されている。

アメリカの農家はトランプ大統領の主要支持基盤とされ、トランプ大統領はイラン戦争で失った票を取り戻さなければならないという厳しい立場に置かれている。
アメリカ政府のこのような措置は、MOU協定に従ってイランとの核プログラム交渉の妥結が前提となる見込みだ。
ヴァンス副大統領は「核交渉などで進展がない限り、イランの凍結資金は解除されない」と重ねて強調した。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナルはイランの凍結資産に関し、中国で凍結されているイラン凍結資産規模を200億〜500億ドル(約3兆2,300億円~8兆860億円)と推定している。
なお、「イラク(150億ドル・約2兆4,300億円)やインド(70億ドル・約1兆1,300億円)、日本(30億ドル・約4,850億円)、アメリカとルクセンブルク(それぞれ20億ドル・約3,230億円)などにも相当する規模のイラン資産が凍結されているものと見られる」と付け加えた。













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