
中国が過去20年間、体系的に経済的自立を追求し、米国経済に圧力をかけられるボトルネックを構築することに成功したため、米国は中国を抑制するのが難しくなったと、米『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)が3日に報じている。
報道によると、この自立は2012年に就任した習近平主席はもちろん、彼の前任者である胡錦濤前主席の時代にも中国が推進してきた基本政策となっている。
その結果、ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対する米国の依存度を減らし、中国の過剰生産が米国経済を圧倒するのを防ぐために実施している関税措置が効果を発揮できていない状況だ。
◆自立を通じて西側の圧力のレバレッジを減少
輸入代替品を国内で生産しようとする中国の計画は非効率的な場合が多かった。しかし、結果的に西側が紛争時に使用できる影響力を減少させてきた。
今年、中国はレアアース金属とレアアース磁石に対する世界供給をほぼ完全に支配している状況を最大限に活用している。
中国のレアアース供給制限の脅威に対し、トランプ氏は先週、習近平氏に譲歩せざるを得ない状況となっている。
中国に課した関税を東南アジア諸国に課した関税と同じレベルに、またインド、ブラジルなどよりもむしろ低いレベルに引き下げている。
また、先月決定した取引禁止対象の中国軍関連企業の拡大を撤回せざるを得ない状況となっている。
レアアースの他にも、中国が支配力を行使する分野は多い。抗生物質など医薬品原料の生産を掌握しており、多くの電気機器や低価格半導体などが含まれている。
これにより、米国が中国を攻撃する手段が大幅に減少している。トランプ政権が中国のレアアース輸出規制を緩和するよう圧力をかけるために航空機部品などの輸出制限を脅かしたが、これは事実上ほぼ最後の手段だったと言える。
中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年当時、中国は多くの商品を輸入しなければならなかった。中国企業と消費者は品質が劣る中国製製品よりも輸入品を大いに好んでいた。
しかし現在、多くの中国製品において他国の製品よりもむしろ品質が優れている製品が急増している。
昨年、中国工業情報化部の金壮竜工業情報化部長は「500の主要産業製品の中で、220以上で我が国の製品が世界1位を占めている」と述べている。
先月、中国共産党中央委員会全体会議は、中国が先端製造業を2倍以上強化するよう指示したものだ。つまり、政府と企業が「製造、製品品質、航空宇宙、輸送、そしてサイバー空間で中国の力を強化するために速度を上げよ」と指示したものだ。
◆西側が支配する産業は航空機・半導体のみ
現在、米国とヨーロッパが世界を支配する産業は商業用航空機と最先端半導体など、ごく一部に過ぎない状況だ。
ブラッド・セッツァー米外交問題評議会(CFR)中国専門家は「習近平氏が最先端半導体を除けば、中国の供給網からアメリカ製品を排除することに成功した」と指摘している。
10年以上の巨額の公共投資があったにもかかわらず、中国は人工知能と最新軍事技術に必要な最先端半導体製造で遅れをとっている状況だ。しかし、中国企業はNVIDIAのマイクロチップを購入し、密輸するのにほとんど制約を受けていない。
中国はWTO加盟直後に「自主創新」キャンペーンを展開し、2015年には「中国製造2025」キャンペーンを、過去2年間は「新質生産力」キャンペーンを展開してきた。
これを通じて国営銀行が電気自動車および太陽光パネル製造業者に低金利で大規模な融資を行い、生産施設を大幅に拡張し、これらの製品の最大輸出国となっている。
一部の製品については保護貿易主義政策で自立を達成した。2008年から大型ガソリンエンジンの輸入自動車、スポーツ用多目的車の希望小売価格を2倍以上に引き上げたのが代表的な例だ。
この政策により、中国の消費者は大型車両の代わりに電気自動車とガソリン−電気のハイブリッド車を選好した結果、現在の中国自動車市場の半分以上を占めるようになっている。
◆トランプ政権、中国の市場支配力の武器化を無視
トランプ政権は第一期から、中国が構築した一部製品の市場支配力が武器になる可能性を無視する傾向が強かった。外国人投資が減少し、多国籍企業が中国ではなく他の場所で購入するようになるという論理を掲げていた。
実際にそうなる可能性がないわけではない。
しかし、中国は先月の共産党全体会議で一層自立を強化することを宣言している。
全体会議の閉幕声明は「我々は我々の強みを固め、拡大し、ボトルネックと制約を突破し、我々の不足と弱点を強化しなければならない」と強調している。
このため、中国の官僚たちも自立をさらに強調している。習近平氏の側近である田培炎氏は先週末、寄稿文で広範な産業基盤の構築が「経済安全の防壁」であると強調している。













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