
ウクライナの戦場に、精密誘導ミサイルを搭載した新型の高機動対ドローン車両が登場し、軍事関係者の注目を集めている。
米軍事専門メディア「ザ・ウォーゾーン(TheWarZone)」は12日(現地時間)、ウクライナ軍がドローン迎撃任務に特化した米国製の高機動車両「TEMPEST」の運用を開始したと報じた。
TEMPESTは、米防衛企業「V2X」が開発した対ドローン・システムである。小型かつ高速走行が可能なオフロード車両をベースに、探知・追跡用センサーとデュアルミサイル発射装置を統合。迅速に移動しながら、自爆型ドローンなどの空中脅威を迎撃することを主眼に設計されている。
ウクライナ軍が同車両に搭載しているのは、米ロッキード・マーティン社製の精密誘導ミサイル「AGM-114ヘルファイア」だ。ヘルファイアは通常、攻撃ヘリコプターなどから発射される空対地ミサイルとして知られるが、対戦車攻撃からドローン迎撃まで、幅広い標的に対応する柔軟性を備えている。ウクライナ空軍が公開した映像には、ロシア軍のドローンを標的としてTEMPESTから2発のヘルファイアが放たれる様子が収められている。
車両の詳細な分析によると、左後方には受動型(パッシブ)の無線周波数探知システムとみられるアンテナが確認された。これは、自ら電波を発信して敵に位置を露呈させるレーダーとは異なり、ドローンが発する無線信号を静かに捉えることができるため、生存性が極めて高い。
■ヘルファイア搭載型の性能と課題
ウクライナが運用するヘルファイアは、射程約8キロメートル、弾頭重量約9キログラムで、多様なドローンを確実に破壊する威力を有する。地上への付随的被害を最小限に抑えられる利点がある一方、コスト面での課題も指摘されている。
2020年時点で1発あたりの価格は約20万ドル(約3,150万円)に達し、安価なドローンを撃墜する手段としては「費用対効果」が低いとの見方が強いためだ。
今回の供与について、開発元のV2X社からの公式発表はない。しかし、搭載されたミサイル自体は、2022年以降にスウェーデンやノルウェーからウクライナへ供与された支援パッケージの一部である可能性が高いとみられている。
「ザ・ウォーゾーン」は、TEMPESTが「これまで確認された地上配備型の対ドローンシステムの中で、最も機動性に優れたものの一つ」と評価している。ロシアが冬季に向けて都市部やエネルギーインフラへのドローン攻撃を強化する中、ウクライナ軍にとってこの高機動な迎撃手段の重要性は一層高まる見通しだ。
















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