世界最大の原油輸出国サウジアラビアが、自国産原油の販売価格に過去最高水準の上乗せ幅を設定した。イランとの軍事的緊張が高まるなか、主要輸送路のホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界の原油供給不安が一段と強まったためだ。

6日付の英フィナンシャル・タイムズによると、サウジ国営石油会社サウジアラムコは、5月積みの主力油種アラブ・ライトについて、オマーン・ドバイ平均に対し1バレル当たり19.50ドル(約3,100円)高い水準に設定した。26年ぶりの高水準となり、過去に10ドル(約1,600円)を超える場面はほとんどなかった。
欧州向けの価格も大きく切り上がった。サウジ産原油を調達する欧州の買い手は、足元で1バレル約108ドル(約1万7,300円)のブレント原油指標価格に加え、24〜30ドル(約3,800〜4,800円)の追加負担を迫られている。FTは、サウジが全地域で同時に値上げへ踏み切るのは異例だと報じた。
今回の急騰を招いた直接の要因は、物流の停滞にある。サウジの原油輸出の大半はペルシャ湾から出荷されるが、イランがホルムズ海峡での統制を強めたことで、船舶の通航にも大きな制約がかかる状況となった。
サウジは対策として東西横断パイプラインを最大限稼働させ、原油を紅海沿岸へ振り向けている。西部ヤンブー港の積み出し量は過去最大級まで膨らんだものの、全体の輸出量はなお平時の半分程度にとどまる。とりわけ打撃が大きいのは、中東産の高硫黄原油に依存するアジアの製油各社で、代替調達先が限られるなかコスト負担は急速に重さを増している。一部の船舶は限定的にホルムズ海峡を通航しているが、先行きへの警戒感は依然として強い。
石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国で構成するOPECプラスは5月の増産で一致したが、その規模はホルムズ海峡封鎖で失われた供給量の約2%にすぎないとみられている。増産分の原油もなおホルムズ海峡の制約を受けており、市場では今回の決定を「実効性に乏しい象徴的措置」と受け止める見方が広がっている。














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