
ロシア連邦内のタタールスタン共和国が、近年、北朝鮮の金正恩総書記や北朝鮮軍の将校らに提供される軍馬の最大の供給地として浮上している。米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」が1月29日(現地時間)に報じた。
タタールスタン共和国農業省は昨年6月、タタール第57種馬牧場が、過去7年間にわたり金正恩氏や同氏の騎兵連隊に、純血のオルロフ・トロッターを15頭以上供給してきたと明らかにした。
オルロフ・トロッターは、18世紀末にロシアの貴族アレクセイ・グリゴリエヴィチ・オルロフによって改良された馬の品種で、スピードと持久力、そして威厳ある体躯を兼ね備えた馬として知られている。
昨年6月には、馬の飼育や乗馬分野での協力強化に向けた協議を目的に、北朝鮮の乗馬専門家らがタタールスタン共和国を訪問した。北朝鮮側の代表団には、馬の飼育および乗馬スポーツを統括するクムギル・コンソーシアム傘下部門の責任者、リュ・サンナム氏や、チョンリマ貿易会社の関係者らが含まれていた。当時の訪問は、オルロフ・トロッターを追加で北朝鮮に搬出するためのものだったとみられている。
タタール第57種馬牧場を運営するニコライ・スココフ氏は、2018年から北朝鮮への馬の供給を続けてきた。この事業は、スココフ氏が2022年に、4歳の灰色の純血馬「ピェーペル(ロシア語で灰を意味し、毛色に由来する名称)」を金正恩氏に贈呈したことを契機に本格化したという。
ロシア紙「コメルサント」は昨年12月、スココフ氏が北朝鮮の「特殊騎兵連隊」に対し、これまでに計21頭の馬を輸出したと伝えた。
スココフ氏はまた、2024年に平壌で行われた軍事パレードで、馬に乗って行進した北朝鮮の将官らが、いずれも灰色のオルロフ・トロッターに騎乗していたと言及した。この連隊に所属する馬のうち10頭が、自身の牧場から供給されたものだと明らかにした。金正恩氏は、専属の騎兵護衛部隊を有しているとされている。
スココフ氏は2018年、ロシアのプーチン大統領が2003年に金正日総書記の誕生日にオルロフ・トロッター3頭を贈呈した後、北朝鮮が自身を供給者として選んだと明かしている。その後、スココフ氏は金正恩氏から茶器のセットや伝統酒などの贈り物を受け取ったほか、オルロフ・トロッターの飼育に関する講義を行うため、北朝鮮を訪問したこともあると伝えた。
スココフ氏の牧場は、これまで各種大会で受賞馬を輩出してきた実績を持つ。また、ロシア国営エネルギー大手「ガスプロム」のアレクセイ・ミレル代表や、カザフスタンのナザルバエフ元大統領など、各国の要人にも馬を供給してきたという。
北朝鮮のエリート層は、長年ロシア産のオルロフ・トロッターを好んでおり、数十年にわたってロシアの馬産業との関係を築いてきた。北朝鮮の国営メディアも、金正恩氏が馬に乗る姿の写真や映像を、権力や指導力を象徴するイメージとして繰り返し用いている。
ロシアは2022年にオルロフ・トロッター30頭を北朝鮮に輸出し、2024年8月にも24頭を送った。これに先立ち、2020年3月には30頭、2019年には1頭あたり7万5,500ドル(約1,095万円)以上とされる高額な馬12頭を輸出している。
一方、ロシア・モスクワの第1種馬農場が、1990年代からロシア産の馬を北朝鮮に供給してきたと「ザ・モスクワ・タイムズ」は報じた。2024年4月には、北朝鮮の馬飼育専門家らが同農場を訪問したとされている。















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