
2020年、テスラのオーナーだった大手法律事務所の代表弁護士が運転中に死亡した事故に関連し、遺族がテスラのアメリカ本社と韓国法人を相手取り訴訟を起こした。
「ニュース1」の報道によると、遺族側の代理人であるハ・ジョンソン弁護士(70)は19日、ソウル特別市江南区(カンナム区)三成洞(サムソン洞)で記者会見を開き、テスラ本社と韓国法人に対する民事訴訟の訴状をソウル中央地方裁判所に提出したと明らかにした。
2020年12月9日、大手法律事務所の代表弁護士であるユン氏は、代行運転手が運転するテスラ・モデルXロングレンジが駐車場の壁に衝突する事故に遭遇した。ユン氏は重傷を負い、近隣の病院に搬送されたが、その後死亡した。
ハ弁護士は会見で、モデルX車両の「テレマティクス(無線通信)データ」を分析した結果、アクセルペダルの踏み込み量が100%を示しているにもかかわらず、走行速度が十分に上昇していないことが判明したと述べ、代行運転手が事故当時アクセルではなくブレーキを踏んでいた可能性が高いと主張した。
アクセルペダルの踏み込み状態を示す「アクセルペダル変位量」は、100%に近いほどアクセルを完全に踏み込んでいることを意味する。つまり、ハ弁護士の主張は、「アクセルペダルを100%踏み込んでいた」と示すテレマティクスデータの信頼性に疑問を呈するものだ。
ハ弁護士は「通常、自動車事故が発生すれば事故記録装置(EDR)のデータを確認するが、この事故では壁への衝突直後に火災が発生し、EDRデータが全て焼失した。しかし、この車両はEDR以外の作動データをテレマティクスデータとして保存し、テスラのサーバーに送信する仕組みになっているため、これを通じて事故直前の車両走行速度などを確認できる」と説明した。
ハ弁護士は続けて「テレマティクスデータによると、6秒前の速度は時速55.84kmで、その後6秒間アクセルペダルの変位量が100%で持続したことが確認されているが、6秒後の速度はわずか時速39kmしか増加せず、94.95kmに留まった」と述べた。さらに「この車両のゼロ百(時速0から100kmまでの加速)時間は4.6秒であるため、6秒間アクセルペダルの変位量が100%で持続したのであれば、このような低速度にはならないはずだ。したがって、運転者がブレーキを踏んでいたと考えるべきだ」と主張した。
一方、死亡したユン氏がユン・ソンニョル前大統領の40年来の親友であることも事故直後に明らかになった。
ユン氏はユン前大統領と共に忠岩(チュンアム)高等学校を卒業し、ソウル大学法学部を経た親友である。当時検察総長であったユン前大統領は、法務部で懲戒委員会が開かれていた日にもかかわらず、退勤後すぐに弔問に訪れたという。