
脂肪組織から抽出した幹細胞で抜け毛を治療できる可能性が示された研究結果が発表された。
米フォックス・ニュースなどが現地時間25日に報道した内容によると、スペインの都市マドリードにあるサン・カルロス臨床病院の研究チームが、男性型脱毛症治療のための新たな幹細胞療法に関する研究結果を発表したという。
オスのマウス、幹細胞とATP注入3週間後に毛髪100%回復
研究チームは、ヒトの脂肪組織から抽出した脂肪由来幹細胞(ASC)とアデノシン三リン酸(ATP)をマウスの皮膚に注入する実験を行った。オスのマウスに低用量の幹細胞とATPを投与した結果、3週間後に100%の毛髪回復効果が確認された。
ATPを併用投与したすべての実験群で、オスのマウスの毛髪が著しく再生し、一方、メスのマウスの場合、低用量と高用量では効果がなかったものの、中間用量で最大90%の毛髪再生効果が見られた。
研究を主導したマドリード・コンプルテンセ大学のエドゥアルド・ロペス・ブラン皮膚科教授は、「男女ともに高い発毛反応が確認された」とし、「この幹細胞療法が、既存の治療法がなかった様々な疾患に対し新たな解決策をもたらす可能性がある」と付け加えた。
ただし、ブラン教授は「マウスの皮膚が薄く注射の使用が難しいため、これはヒトの臨床試験では重要な変数となる」とし、「マウスでの成果は有望だが、ヒトを対象とした臨床試験でも治療効果を実証する必要がある」と注意を促した。
研究チーム「計画通りに進めば5年以内に実用化」
研究チームは現在、18歳から50歳までの中等度男性型脱毛症患者を対象に、ヒトでの臨床試験の安全性検証を進めていることを明らかにした。
ブラン教授は「すべてが計画通りに進めば、5年以内に実用化が可能だ」との見通しを示した。
ただし、今回の研究に参加していないニューヨークの皮膚科専門医ブレンダン・キャンプ博士は、「これは、幹細胞とATPの併用が抜け毛治療に効果を示す可能性があることを示した小規模な研究」とし、「商用利用するには更なる大規模研究が必要だ」と指摘した。
なお、この研究結果は国際学術誌『幹細胞研究と治療(Stem Cell Research & Therapy)』に掲載された。
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