沈没当時、救助を拒否した「ストラウス夫妻」
夫の遺体から発見された懐中時計「34億円」で落札
1912年のタイタニック号沈没当時に乗客が所持していた懐中時計が178万ポンド(約3億6,500万円)で落札された。
「BBC」などの海外メディアによると、最近イギリスのウィルトシャー州デビシスにあるオークションハウス、ヘンリー・アルドリッジ・アンド・サンに懐中時計が出品された。

この懐中時計は「タイタニック号」に乗船していたニューヨークの百貨店メイシーズ(Macy’s)共同経営者で、アメリカの政治家でもあったイジドー・ストラウスさんと妻アイダ・ストラウスさんのエピソードが込められた遺品だ。遺体から発見された際、時計の針は船が沈没した午前2時20分で止まっていた。
時計はその後、家族に返還され、数世代にわたって受け継がれた。イシドーさんの曾孫であるケネス・ホリスター・ストラウスさんが修理・復元し、今回オークションに出品したという。
この時計はデンマークの時計ブランド「ウルバン・ヤーゲンセン」の製品。18金製の懐中時計で、蓋の内側には「1888年2月6日」という日付とイニシャルが刻まれている。イシドーさんの43歳の誕生日に妻が贈ったと伝えられている。
ストラウス夫妻は、タイタニック号の沈没時に救命ボートへの乗船を拒否し、共に死を選んだという逸話で知られている。生存者の証言によれば、イシドーさんはボートの数が不足していることを知り、乗船を辞退。妻アイダさんは最後まで夫のそばにいた。夫妻は互いに抱き合い、甲板に立っていたものの、水に沈んだと伝えられている。夫とは異なり、アイダさんの遺体は最後まで発見されなかった。

オークション主催者であるアンドリュー・オルドリッジさんは「この時計が高額落札されたのはストラウス夫妻への敬意の表れであり、タイタニック号の物語が持ち続ける影響力の象徴だ。113年が経った今でも、遺品を通じてその物語は語り継がれている」と述べた。
この日、アイダさんが船内で書いた手紙も併せて出品された。落札価格は10万ポンド(約2,000万円)に達した。これはタイタニック号公式のレターヘッドが印刷された便箋にストラウス夫人が船内で直接書いて送ったものだ。
昨年もタイタニック号関連の品がオークションで高額で落札された。生存者700人を救助した蒸気船カルパチア号の船長が所持していた金製の懐中時計が、当時最高額の156万ポンド(約3億2,000万円)で落札されている。














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