米ワシントン大学研究チーム「地殻活動の可能性は極めて低いと分析」

木星の衛星エウロパが生命に適した環境かどうかを巡り、科学界で議論が活発になっている。エウロパは氷の地殻の下に海が存在すると考えられており、生命が存在する可能性が指摘されてきた天体だ。
米ワシントン大学・地球環境惑星科学科のポール・バーン教授の研究チームは、エウロパでは地殻活動が起きる可能性が非常に低いとする分析結果を示した。地殻活動が乏しい場合、生命活動を維持するための仕組みにも制約が生じ得るとの見方が示されている。この研究成果は6日(現地時間)に国際学術誌Nature Communicationsに公開された。
科学者たちは、地球では海を中心に生命が発展してきたという知見を踏まえ、太陽系内の天体における生命の存在可能性を探っている。地球の深海では地殻活動によって形成される熱水噴出孔から、高温の水が岩石と反応し、生命が利用可能な化学エネルギーが供給されている。従来のモデルではエウロパの海でも同様の仕組みが成り立つ可能性が想定されてきたが、地殻活動が限定的であればエネルギー源の形成が難しくなる可能性があると考えられている。

研究チームはエウロパの海底で地殻活動が生じているかどうかを評価するため、広範な数値モデルを用いた解析を行った。エウロパが木星を公転する際に受ける潮汐力や、エウロパ内部マントルの対流などが検討対象となったが、いずれの要因も地殻の大規模な移動を引き起こす可能性は低いと評価されたという。こうした結果から、地殻活動はごく限定的にしか起こらない可能性があると解釈されている。
研究チームは「エウロパの海底で生命が生存条件を維持するための仕組みは地殻活動とは別の要因に依存している可能性がある」との見解を示している。
先月開催された米国地球物理学会の会合では、NASAゴダード宇宙飛行センターのゴック・トゥアン・チュオン研究員がエウロパの岩石から海へ放出される放射性元素の崩壊熱が、海中の生命を維持するのに十分なエネルギーを供給し得るとする研究結果を発表した。

2024年の米国地球物理学連合ではエウロパの氷殻の厚さが従来の想定よりも大幅に厚い約35kmに達する可能性があるとの研究も報告された。エウロパ内部で生じる熱が想定より少ない場合、海のエネルギー量が生命維持には不十分となる可能性もあるとの分析が示されている。
エウロパを巡る様々な仮説は、探査機「エウロパ・クリッパー」によって検証が進む見通しだ。2024年10月に米国から打ち上げられたクリッパーは2031年にエウロパへ接近飛行し、詳細な観測を行う計画とされている。
エウロパ以外では土星の衛星であるエンケラドゥスでも水を噴き上げる間欠泉が観測され、注目を集めている。2023年にはエンケラドゥスの海に有機化合物やリン(P)など、生命に必要とされる主要な構成要素がそろって存在するとの研究結果が発表された。欧州宇宙機関は2040年頃のエンケラドゥス着陸を目標にロボット探査計画を検討しているという。














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