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「毒親」は人間だけ?チンパンジーは「愛着障害」皆無、進化の謎に科学界が騒然!

山田雅彦 アクセス  

独・研究チーム「母子間の愛着関係、深い進化起源を示唆」

人間に最も近い霊長類の一つである野生チンパンジーにおいて、母親と子どもの間に人間と類似した愛着関係のパターンが形成されることが、初めて確認された。

 

引用:Tai Chimpanzee Project
引用:Tai Chimpanzee Project

 

ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所のエレオノア・ローランド博士率いる研究チームは13日、アフリカに生息する野生チンパンジーの母子50組を観察し、人間の子どもにも見られる「安定型愛着(Secure attachment)」や「不安定-回避型愛着(Insecure-avoidant attachment)」などの愛着スタイルを発見したと、科学誌『Nature Human Behaviour』にて発表した。

愛着理論(Attachment theory)は、当初乳幼児と養育者との関係を理解するために提唱されたもので、人生の初期における絆の経験(bonding experience)が、心理的発達や社会的相互作用に大きく影響を与えるとされている。

一貫性のある安定した絆は「組織化された愛着(organised attachment)」とされる一方で、養育者の行動が予測不可能であったり、幼児が養育者に対して恐怖心を抱くような状況では、「無秩序型愛着(disorganised attachment)」が生じるとされている。

研究チームは、無秩序型愛着はさまざまな文化圏の幼児のおよそ23%に観察されると指摘しつつ、愛着理論は現代の育児方法にも大きな影響を与えてきたが、野生霊長類における同様の行動については、これまでほとんど知られていなかったと説明している。

 

引用:Tai Chimpanzee Project
引用:Tai Chimpanzee Project

 

研究チームは、コートジボワールにあるタイ国立公園で野生チンパンジーの母子50組を対象に、4年間・合計3,795時間にわたる行動観察データを分析した。

その中で、外的脅威のない状況下での18頭の幼いチンパンジーの反応を観察し、困難に直面した際に養育者を求める行動など、人間の「安定型愛着」および「不安定-回避型愛着」に類似した行動が見られたと報告している。

例えば、幼いチンパンジーは脅威を感じると、泣きながら母親のもとへ近づく傾向があり、この行動は年齢を重ねるにつれて減少した。母親が近くにいるかどうかにかかわらず、泣く行動は徐々に減っていったが、母親が近づくとすべての個体が泣き止んだという。

注目すべきは、人間の子どもの約23.5%、飼育環境下で育てられた孤児チンパンジーの約61%に見られる「無秩序型愛着」が、野生のチンパンジーでは一切観察されなかった点である。

人間の場合、無秩序型愛着は養育者との関係において恐怖・トラウマ・攻撃的行動などにより形成されやすい。子どもは愛情を求めながらも養育者を恐れるという矛盾した行動をとり、これが感情の調整や精神的健康に悪影響を及ぼす可能性がある。

研究チームは、攻撃や脅威に直面した際の0~10歳のチンパンジー30頭の反応を観察したが、母親に対して攻撃的な行動を示すような無秩序型愛着の兆候は一切見られなかったという。

エレオノア・ローランド博士は「無秩序型愛着が見られなかったということは、このタイプの愛着が野生環境では生存戦略として機能しない可能性を示している」と述べ、「仮に無秩序型愛着が形成されたとしても、その個体が生き延び、繁殖に成功する確率は低かったことを示唆している」と説明した。

共同責任著者のロマン・ヴィティッヒ博士は「本研究は、人間とチンパンジーに共通する『組織化された愛着』が深い進化的起源を持つことを示している」としたうえで、「心理学・動物行動学・人類学の架け橋となる本研究は、種によってどのように愛着戦略が進化してきたのかを明らかにするものである」と述べた。

山田雅彦
editor@kangnamtimes.com

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