
米ニューヨーク(NY)市議会で、最低賃金を時給30ドル(約4,770円)へと大幅に引き上げる法案の審議が開始された。実現すれば全米の都市・州で最も高い水準となる。10日(現地時間)、サンドラ・ナース市議会議員が「$30 for Our City」と題した本案を提出した。
法案によれば、引き上げは一律ではなく、企業規模に応じて段階的に実施される。従業員500人以上の大規模企業は2027年に20ドル、2030年までに30ドルへの引き上げが義務付けられる。一方、500人未満の中小企業については猶予期間が設けられ、2028年に21.50ドル、2032年までに30ドルを目指す計画だ。
NY市では2026年1月に最低賃金が17ドル(約2,700円)に改定されたばかりだが、ナース議員は「現行水準では市内の高い生活コストをまかなえず、最低限の生活には時給約38ドルが必要だ」と主張。非営利シンクタンク「経済政策研究所(EPI)」のデータによれば、市内の単身世帯が標準的な生活を送るには年間約8万3,262ドル(約1,324万円)が必要とされている。
この動きに対し、市内の中小事業者団体や経済界からは強い反対の声が上がっている。NY市の民間雇用の過半を占める中小企業にとって、人件費の倍増に近い引き上げは存続を揺るがす死活問題だ。大手フランチャイズ等の資本力がある企業のみが生き残る「市場の寡占化」が進み、消費者の選択肢が狭まるリスクが指摘されている。
保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」等の経済専門家は、過度な賃金上昇が製品・サービス価格の転嫁(コストプッシュ・インフレ)を招き、結果として低所得層の負担を増大させると分析。また、自動化の加速や採用抑制により、低技能労働者が労働市場から排除される「逆効果」への懸念も示している。
各メディアは、本法案が可決された場合、事業者団体による大規模な差し止め請求や法的闘争に発展する可能性が高いと伝えている。本件は、30ドルへの引き上げを公約に掲げるゾラン・マムダニ市長の動向とも連動しており、全米一の経済都市であるNYの労働政策の行方が注目されている。
















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