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「生命の証拠か!?」土星の衛星エンケラドゥスで“有機分子”発見 地球外生命への希望、再び燃える!

望月博樹 アクセス  

土星の環の有機分子、エンケラドゥスで確認

衛星から噴出直後の水柱成分と一致

宇宙放射線起源説を反証

欧州宇宙機関、2042年に新探査計画を推進

引用:NASA
引用:NASA

土星の衛星エンケラドゥス(Enceladus)に生命が存在する可能性が再び注目されている。衛星から噴き出す水柱の中から、生物活動と関連があるとされる新たな有機分子が発見されたためである。

エンケラドゥスでは約20年前にも地下海から噴出する水柱に有機物が含まれていることが観測され、太陽系内で地球以外に生命が存在する最有力候補の一つとされてきた。一方で近年、一部の有機物は地下海ではなく表面で宇宙放射線の影響によって生成された可能性も指摘され、生命存在への懐疑論も出ていた。今回の新発見で、地球外で生命を見つけられるという希望が再燃した。

学者たちはまだ結論を出すのは難しいとしながらも、引き続き探査する価値があると主張している。

土星軌道で衛星内部の物質を確認

欧州宇宙機関(ESA)の研究チームは1日、国際学術誌『ネイチャー・アストロノミー』に論文を発表し、探査機カッシーニが土星周回中に収集したデータの解析結果を報告した。報告によれば、エンケラドゥスから新たな複雑な有機分子が噴出していることが確認されたという。

カッシーニ研究チームは、新たな有機分子の存在がエンケラドゥスの地下海で複雑な化学反応が起きている証拠とみており、その一部は生命活動に関連する物質形成につながる可能性があると説明した。

今年3月の国際天文学連合(IAU)の発表によると、エンケラドゥスは土星の274の衛星の中で6番目に大きく、地下に広大な海を抱えていると考えられている。探査機カッシーニは2005年、南極地域の「タイガーストライプ」と呼ばれる割れ目から水柱が噴出する様子を観測した。

 引用:NASA
 引用:NASA

ドイツのベルリン自由大学のノザイール・カワジャ教授の研究チームは、カッシーニが2017年の任務を終えるまでに観測したデータを分析した。

カッシーニは土星のEリングを通過する際にエンケラドゥスから放出された氷粒子を検出し、その中に生命のタンパク質を構成するアミノ酸前駆体を含む有機分子が存在することを突き止めた。

問題は、土星の環に存在する氷の粒子が数百年にわたり宇宙放射線にさらされ、化学的性質が変化した可能性がある点である。研究チームはその答えを得るため、最近噴出したばかりのより新鮮な氷粒子を調査した。探査機カッシーニは2008年、エンケラドゥスの噴出物の中を直線的に通過した。その際、わずか数分前に噴き出した氷の粒子が時速約18キロでカッシーニの宇宙塵分析器(CDA)に衝突した。

カワジャ教授は「速度こそが今回の研究の要だった」と説明している。エンケラドゥスから噴出された氷の粒子には有機物など他の分子も含まれているが、カッシーニにゆっくりと衝突した場合、氷の粒子が粉々に砕け、水分子の集合体が形成されて他の分子の信号を覆い隠してしまう。一方で氷の粒子が高速で分析器に衝突すると、水が放出される前に有機分子の信号を捉えることが可能になるという。

研究チームは数年にわたりカッシーニのデータを分析した結果、土星のEリングで発見された有機分子がエンケラドゥスから放出された氷の粒子の中にも存在することを確認した。これにより、有機分子が宇宙放射線によって生成されたものではなく、エンケラドゥスの地下海から由来したことが証明された。

 引用:NASA
 引用:NASA

エンケラドゥス追加探査に青信号

今回の分析では、これまで確認されなかったより複雑な有機分子も新たに発見された。研究チームは「この発見がエンケラドゥスに生命が存在する証拠そのものではないが、生物学的に関連する物質の形成を導く複雑な化学経路が作用している可能性を示唆するものだ」と説明し、「欧州宇宙機関(ESA)が進める生命の痕跡探査計画を強く裏付ける」と述べた。その上で「エンケラドゥスに関するすべての兆候が前進を示している」と強調した。

科学者たちは、磁場や重力の観測情報をもとに、エンケラドゥスの地表から約40キロ下に最大水深10キロの海が存在すると推定している。つまり、氷の地殻と中心部の岩石層の間に海が広がっているということだ。この地下海は土星の強い潮汐力によって加熱され、結果として水蒸気の噴出柱が地表から噴き出す。この現象は2023年、 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も観測しており、その際には噴出柱が約1万キロにまで達した。一部は土星の重力に引き寄せられ、環の一部となった。

もっとも、これまでの探査機はエンケラドゥスの地下海を直接調査したわけではなく、得られているのは間接的な証拠にすぎない。そのため生命存在への懐疑論が根強く残っている。先月にはイタリア国立天体物理学・宇宙惑星研究所(INAF)の科学者らが、国際学術誌『惑星と宇宙科学』で「エンケラドゥスの噴出柱に含まれる有機分子は地下海ではなく、地表で宇宙放射線の作用によって生成された可能性がある」と指摘した。研究チームはエンケラドゥスの環境を再現した実験で、放射線からアミノ酸の前駆体分子を生成することにも成功したという。

今回の研究では、少なくとも土星の環で見つかった有機分子がエンケラドゥスの噴出物に由来すること、そして長期間の宇宙放射線によって生成されたものではなく、噴出時点からすでに含まれていたことが確認された。イタリア研究チームの実験を完全に否定するには至っていないものの、議論が一方的に偏らないよう均衡を保つ結果となった。

科学者たちは、カッシーニに続く新たなエンケラドゥス直接探査に期待を寄せている。今回の研究には関与していないESA太陽系探査部門のヨーン・ヘルベルト博士は、英紙ガーディアンのインタビューで「2042年ごろ打ち上げ予定の新たな探査計画では、エンケラドゥスの軌道を周回し噴出柱を通過する周回機と、南極地域に着陸する着陸機の双方を組み合わせる構想だ」と説明した。そのうえで「エンケラドゥスは液体の水、エネルギー、そして複雑な有機分子など、生命を育むために必要な全ての要素を備えている。いまこそ、その痕跡を探す探査機を送るのに最も適した時期だ」と語った。

望月博樹
CP-2023-0364@fastviewkorea.com

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