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「AIブーム」が招いた想定外の危機 ウラン価格が3年で3.4倍に急騰、露制裁で供給網に致命的な歪み

川田翔平 アクセス  

引用:ロイター通信
引用:ロイター通信

人工知能(AI)がウラン価格を史上最高水準に押し上げた。大量の電力を消費するAIによる電力需要の急増と、原子力発電所建設の再活性化により、原発の主要燃料であるウランの需要が急増している。加えて、主要ウラン供給国のロシアがウクライナ戦争後の西側経済制裁によりウランの輸出を遮断され、供給にも支障が生じ、ウランの需給が悪化している。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は11日(現地時間)、市場情報提供会社UxCのデータを引用し、ウラン価格が史上最高水準に達したと報じた。UxCによると、濃縮ウラン価格は1SWU(分離作業単位、Separative Work Unit)当たり190ドル(約3万円)に達した。3年前の56ドル(約8,800円)から3.4倍に急騰した。1SWUとは、原発燃料として使用されるウラン235を1kg確保するのに必要なウランの量を指す。ウラン235、238、234を分離し、このうちウラン235のみを燃料として濃縮する。

各国が気候危機の中で化石燃料使用を削減する一方、AIが莫大な電力を必要とすることから、原子力発電が再び注目を集め、ウラン価格が上昇している。マイクロソフト(MS)、アマゾン、メタ・プラットフォームズなどの大手テック企業は、大規模なAIデータセンター運用のため、原子力発電への依存を強めている。

しかし、原発燃料であるウランの供給は縮小している。ウクライナ戦争開始から3年近くが経過する中、ウラン採掘・濃縮の主要国であるロシアが米国の制裁によりウランの輸出を禁止されているためだ。需要が急増する一方で供給に支障が生じ、ウラン価格は史上最高値を更新し続けている。

投資グループ・オーシャンウォールCEOのニック・ローソン氏は、西側にウランを処理・濃縮する十分な設備がないため、ウラン価格が未曾有の水準に急騰していると説明した。アナリストらは、2027年末に米国の対露制裁が終了するまで、ウランの需給不均衡と価格上昇傾向が続くと懸念している。今後3年以上この状況が続くという見通しは、代替供給源の確保の取り組みにもつながっている。

西側諸国でもウラン抽出・濃縮設備の構築が進められている。原発先進国のフランス、米国、カナダがその中心的役割を担う見込みだ。ただし、ウラン抽出・濃縮設備の構築には長期間と莫大な費用を要し、政治的決断が必要となる。ローソン氏は、原発とウラン供給網への投資には数多くの重要な政治的決断が必要であり、莫大な資金と「数年」の時間を要すると指摘した。

ウラン価格は連日史上最高値を更新しているが、即座に問題化することはない。通常、濃縮ウランは長期契約に基づいて輸入されるためだ。しかし、新規契約の際には史上最高水準に急騰した価格が適用される点は変わらない。

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