
中国の大学で食堂管理者を募集する際に博士号を要求する規定が設けられ、物議を醸している。
30日(現地時間)、香港の「 サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、中国江蘇省南京にある東南大学が22日に公式サイトで公開した食堂管理者の募集要項では、応募条件として博士号の取得が求められており、業務内容は、料理の開発や調理の監督、食堂業者の管理、食品衛生のチェック、行政関連書類の作成・処理など多岐にわたるという。
東南大学は中国政府のプロジェクトに多数参加しており、清華大学、北京大学などを含む名門校39校の一つとして知られている。しかし今回、食堂管理者の募集で博士号を要求したことで物議を醸している。
大学側は、応募者に対して英語力およびオフィスソフトのスキルを証明するよう求めており、関連する業務経験や中国共産党員であることが優遇条件とされている。東南大学の関係者は「上游新聞」に対し、「応募者が料理人である必要はないが、食品栄養学や調理学を専攻した者、および関連資格を持つ者を優先的に考慮する」と説明した。
一部では、このような募集要項が過度な競争と「スペックインフレ」を助長するとの批判が出ている。SCMPによると、4月時点で学生を除く16歳から24歳の中国の都市部失業率は15.8%で、3月の16.5%からわずかに低下したという。このような状況下で「内定者がいるのではないか」との疑惑も浮上している。
食堂管理者の予想年収は18万元(約357万8,352円)である。中国の統計によると、昨年の都市部の非民間部門と民間部門の労働者の年平均賃金はそれぞれ12万4,110元(約246万7,273円)、6万9,476元(約138万1,163円)であることを考えると、平均を上回る年収となっている。
加えて、名門大学の管理職は多くの人にとって安定しており、福利厚生が充実していると評価され、「魅力的で価値の高いポジション」と見なされているため、「博士号を要求しても競争は激しいだろう」との見方が強い。
中国では採用過程において人種、民族、性別または宗教的信念に基づく雇用差別が法的に禁止されている。しかし、学歴は公式には含まれていない。最近では就職難が深刻化する中で、職務とは無関係な学歴要件を提示し、不合格判定を受ける応募者も増加しているとの指摘がある。中国人民政治協商会議(CPPCC)の代表は雇用政策において「学歴差別を禁止する」という法律改正を提案している。