
これは、ポルトガルのアゾレス諸島にあるピコ山の空を撮影した写真である。中央には、天の川の明るい帯が横に長く広がっており、左上にはアンドロメダ銀河(M31)の姿も確認できる。
空が虹のように輝いて見えるのは、「大気光(airglow)」と呼ばれる現象によるものだ。大気光とは、昼間に太陽の光を受けた大気中の成分が、夜になってもかすかに発光する自然現象である。通常は非常に淡く、肉眼ではほとんど見えないが、この写真のように大気に擾乱が起きると、地球の大気中に重力波が発生し、静かな水面に石を投げた時のような波紋模様が空に現れることがある。
濃い赤色の光は、地上から約87km上空で紫外線を受けたOH分子(酸素と水素が結びついた分子)が放つものであり、それよりも高い高度ではナトリウム原子がオレンジ色、酸素原子が緑色の光を発する。