
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が自国の誇りとしてきた極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」が、ウクライナの軍施設ではなくロシア軍の標的を攻撃したという主張が出てきた。米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は5月、ロシアがウクライナの首都キーウを中心に空襲を行った際に使用されたオレシュニク・ミサイルの弾頭の運動エネルギー爆発が軌道を大きく外れて爆発したことに関する分析を行った。
その映像はロシア軍が占領したドネツク地域内のショッピングモールを含む主要地点でミサイルによる爆発が発生する様子を捉えている。問題のミサイルは、ロシア占領地域内でも激しい戦闘が続く集落を攻撃した。これらの集落は前線後方約40kmの地点にあった。専門家はこの爆発についてオレシュニク・ミサイルがロシアの軍事基地を直撃した可能性があると分析した。
報告書によると、5月24日の午前1時頃に発射された最初のオレシュニク・ミサイルは即座に誤作動を起こし落下したという。2発目のミサイルは首都キーウ近郊のビーラ・ツェールクヴァにある標的に落下した。

ISWはウクライナの公開情報(OSINT)情報源を引用した最近の報告書で「5月24日に撮影された映像をみると、ロシア軍は2発目のオレシュニクを発射した。しかしこのミサイルが誤作動を起こし、占領地であるドネツク州のある地点を攻撃したと見られる」と述べた。続けて「この報告が事実だと確認されれば、ロシア軍がこれまでの戦争で使用したオレシュニク・ミサイル4発のうち1発は誤作動を起こしたことになる」と指摘した。
ウクライナ国防省のオフィシャルメディアである「アーミヤインフォーム(ArmyInform)」によると、ロシアが5月23から24日までウクライナを攻撃するのに使った費用は約3億6,100万ドル(約577億1,500万円)だという。ここに1発あたり5,000万ドル(約79億9,400万円)と推定されるオレシュニク・ミサイル2発の費用を含めると、ロシアが2日間で空襲に消費した費用は4億6,100万ドル(約737億1,140万円)に達する。
プーチン大統領はオレシュニク・ミサイルを迎撃することは不可能だと主張してきたが、西側の多くの専門家はその主張に疑問を抱いてきた。さらにウクライナの専門家は、1月にウクライナに向けて発射されたオレシュニク・ミサイルの破片を分析した結果、このミサイルが9年前の2017年に製造されたものである可能性があるとの分析結果を示した。
ウクライナ当局は「先月回収されたオレシュニク・ミサイルは2017年に組み立てられ、部品はすべて2016年またはそれ以前に製造されたことが確認された」とし、「ミサイル部品が製造された場所はロシアとベラルーシだ」と明らかにした。続けて「ロシアはオレシュニクが最新のミサイルだと主張していたが、組み立てられた年が2017年だという事実に非常に驚いた」と付け加えた。
これに先立ち、ウクライナの調査官は5月に回収したオレシュニク・ミサイル内部には爆発性の弾頭ではなく、不活性の弾頭シミュレーターが搭載されていたことも確認した。実際に攻撃が行われた後、当局が被害状況を分析した結果、オレシュニク・ミサイルが落下した場所で直径最大3m、深さ約2mの噴火口が確認されたという。また、打撃範囲内で人的被害も報告されていない。
これにより一部ではオレシュニクの打撃強度が予想よりも弱く、これはミサイルに爆発性の弾頭が搭載されていなかった可能性につながるとされている。今回の分析結果はこのような予測が事実であることを確認したことになる。
一方、オレシュニク・ミサイルを動員したロシアの大規模攻撃を巡って一部では、ウクライナに物理的な被害を与えることよりも、政治的なメッセージを発することに主眼があったとの分析も出ている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「核弾頭の搭載が可能なオレシュニク・ミサイルは、事実上軍事目的よりも政治的道具として使用されている」と報じた。単に莫大な被害を引き起こそうとする目的よりも、ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)加盟国に核弾頭搭載が可能な極超音速弾道ミサイル保有の事実を誇示する側面が大きいということだ。
これに関連してウクライナの軍事専門メディアのディフェンス・エクスプレスは「核弾頭の搭載を主な目的とするこのミサイルは、命中率が非常に低い可能性がある」とし、「ただし今回の攻撃でミサイルに弾頭がなかったとしても民間人に深刻な脅威になる可能性があることを忘れてはならない。オレシュニクは明確なテロ手段だ」と強調した。













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