
米国の右派活動家チャーリー・カーク氏の銃撃暗殺を契機に、米トランプ政権がメディアへの締め付けを強化したことを受け、米国の放送司会者やコメディアンが一斉に非難の意を示した。カーク氏暗殺及びMAGA(米国を再び偉大に)関連の発言によって放送が無期限に中断されたABCのトークショー司会者、ジミー・キンメル氏を支持する声が業界内から上がる中、トランプ政権の措置は新たな形の「マッカーシズム」(共産主義者を排除する摘発運動)だとの指摘も出ている。
20日(現地時間)の米メディア報道によれば、CBSの看板トークショー「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」の司会者スティーヴン・コルベア氏は、18日の放送冒頭で「今夜は私たち全員がジミー・キンメル氏だ」と述べ、ABCが放送を中断した決定を「露骨な検閲」と激しく非難した。彼はトランプ政権を念頭に置き、「独裁者には1インチも譲るな。ABCは『もしもねずみにクッキーをあげたら』という絵本を読んでいなかったようだ」と鋭い一撃を放った。この絵本は、小さなネズミの要求にクッキーを与えた子どもが、最終的にネズミのエスカレートする要求をすべて受け入れてしまうという内容である。
同日、この番組の元司会者で「トークショーの伝説」と呼ばれるデイヴィッド・レターマン氏も、「ホワイトハウスの執務室にいる犯罪者政権に媚びへつらうなんて、またその政権が怯えているからといって誰かを解雇するなんて許されない」と厳しく批判した。また、NBCのトークショー「ザ・トゥナイト・ショー」の司会者ジミー・ファロン氏は、「何が起こっているのか正確に把握している者はいない。彼(ジミー・キンメル氏)が戻ってくることを心から願っている」と述べた。さらに、スタンドアップコメディアンでポッドキャスターのマーク・マロン氏は、「真の自由、憲法、報道の自由に対する信念があるなら、今こそ行動のときだ」と語った。
USAトゥデイは「チャーリー・カーク氏の暗殺以降、関連発言を理由に調査を受けたり職を解かれたりした教授、メディア関係者、弁護士、記者、民間企業の従業員などの数は100人を超えている」と報じた。それにもかかわらず、トランプ政権はニューヨーク・タイムズ(NYT)に対して150億ドル(約2兆2,254億円)の名誉毀損訴訟や、ABCの放送免許取り消しの脅しなどを続けている。
さらに、米戦争省(旧国防総省)は19日、「事前承認を受けた内容のみ取材可能」という誓約書の提出を記者らに要求する方針を通達した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は18日、「米国は新マッカーシズム時代に突入するのか」という見出しの記事で、「カーク氏事件がトランプ政権の左派排除の動きを一層加速させる契機になった」と指摘した。
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