
米国のニューヨーク・タイムズ(NYT)は21日(現地時間)、世界最大の電子商取引企業アマゾンが今後、事業運営の約75%を自動化する計画を進めていると、社内の戦略文書などを基に報じた。
NYTによると、アマゾンの自動化担当チームは、2027年までに米国内で必要とされる人員のうち約16万人を自動化で代替できると試算しているという。
これは、アマゾンが販売する商品1点あたりの販売コストを約30セント(約45円)削減できる水準にあたるとされている。
さらに、2033年までに販売量が現在の2倍に増加すると見込まれる中で、自動化を通じて追加の新規雇用を抑制できることを期待していると、取締役会への報告書に記されていた。
この期間に自動化によって最大で60万人分の新規雇用が置き換えられる可能性があると見られている。
一方で、雇用削減に対する反発を最小限に抑えるため、地域社会のイベントなどに積極的に関与する必要があるとの指摘も社内文書に盛り込まれていた。
また、アマゾン内部では「自動化」や「AI」といった言葉を避け、「先端技術」という表現を使用すること、さらに「ロボット」という言葉の代わりに、人間と協働するロボットを意味する「コボット(cobot)」という用語を使うよう指定されていたという。
アマゾンは現在、ウォルマートに次ぎ米国内で2番目に多くの雇用を生み出している。
昨年、ノーベル経済学賞を受賞したマサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授はNYTの取材に対し「アマゾンほど自動化を推進する動機を持つ企業はない。もしアマゾンが自動化を収益性のある形で実現すれば、その流れは他社にも波及するだろう」と述べた。
さらに、ダロン教授は「自動化計画が実現すれば、アマゾンは純雇用創出企業ではなく純雇用破壊企業になる」と警鐘を鳴らした。
一方、アマゾンはNYTに対し「NYTが入手した文書は不完全であり、当社全体の雇用戦略を代表するものではない」と反論した。
アマゾンは年末シーズンを前に25万人を新規採用する計画を明らかにしたが、そのうち何人が臨時雇用ではなく正規職なのかについては説明しなかったとNYTは指摘している。
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