
米サンディエゴ市の弁護団は1月、警察官に不当に射殺された16歳の黒人少年の遺族に対し、3,000万ドル(約46億4,928万円)の和解金を支払うことで合意に至った。これにより、警察による殺害事件を巡る和解金として米国史上最高額の新記録となる見通しである。
報道によると、この和解案は現地時間9日午前に開かれるサンディエゴ市議会の議題に追加される予定で、遺族の代理人であるニック・ロウリー弁護士が明らかにした。
ロウリー弁護士は、「16歳のコノア・ウィルソン少年は命がけで走っていたに過ぎない。彼は容疑者でも危険人物でもなかったが、警察官のそばを通り過ぎたという理由だけで、背中から撃たれて命を落とした」と説明した。さらに、「発砲した警察官は、この少年をわずか1秒見ただけで、ためらいなく引き金を引いた」と強く非難している。
今回の和解案が市議会で可決されれば、2020年に人種差別問題として全米を揺るがしたジョージ・フロイド事件後、ミネアポリス市が遺族に支払うことに同意した2,700万ドル(約41億8,351万円)を上回り、警察による殺害事件を巡る全米最高額の賠償金記録となる。
1月28日に市内の監視カメラや、警察官が装着していたボディカメラの映像によると、ウィルソン少年は市内の電車駅で何者かから逃げるように走っていたところ、背後から警察官が発砲した銃弾を受け、背中を撃たれて倒れた。
ウィルソン少年は駅を出た直後、サンディエゴ市警のダニエル・ゴールド警察官と遭遇していた。
遺族が市当局とゴールド警察官を相手取り起こした訴訟の訴状によると、当時、警察官は「何の事前警告もないまま即座に」、少年がそばを走り抜けようとした瞬間に2発を発射した。銃弾は上半身に命中し、撃たれたのがウィルソン少年であったと指摘されている。
さらに、今年6月に提出された訴状では、「ゴールド被告は、少年が地面に倒れた後になって初めて『サンディエゴ警察だ』と名乗った」と主張されている。10代の黒人少年に対する人種的暴力に当たるにもかかわらず、被告側は「現場の安全を守るための行動だった」と正当化しているという。
ウィルソン少年は事件から約1時間後、サンディエゴ大学病院医療センターで死亡が確認された。
5日に公開された公判日程の資料によると、今回の賠償金は市の公共責任賠償基金から支払われるという。
また、サンディエゴ市警のクリス・ティバニアン報道官が「ニューヨーク・タイムズ」紙の取材に対し明らかにしたところによると、ゴールド警察官は市の弁護団が事件を精査している間、職務を一時停止されていた。ただし、現在も行政上は現役警察官の身分を維持しているという。
ロウリー弁護士はオンラインで行われた記者会見で、「その警察官は新人で、自分の階級や名前を名乗る前に発砲した」と指摘した。「彼が本質的に悪人だとは思わないが、極めて深刻で無謀な行為をしたことは間違いない」と付け加えた。













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