
ドナルド・トランプ米大統領が、前任のジョー・バイデン政権はインフレ危機を招いたと繰り返し批判する中で、トランプ政権が掲げる低金利政策と現金給付が、結果的にバイデン政権時代の経済運営をなぞる形になるのではないかとの懸念が浮上している。
報道によると、29日(現地時間)、「CNN」は、トランプ政権が直面する経済環境について「労働市場が弱含む一方で、経済成長が比較的強いという点は、バイデン政権初期と似ている」と分析した。そのうえで「追加の景気刺激策や低金利政策には慎重であるべきだ」と指摘した。また、「物価高が最優先課題として浮上していること」や「現在の金利水準が当時よりはるかに高いこと」は相違点だとした。
バイデン政権発足当初、失業率は高かったものの、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後、米国経済は急速な回復局面にあった。当時、バイデン政権はインフレ懸念が指摘される中でも、約2兆ドル(約313兆円)規模の大規模な景気刺激策を実施した。その結果、2022年の米国のインフレ率は40年ぶりの高水準を記録した。
現在、トランプ大統領も景気刺激を目的に、1人当たり2000ドル(約31万円)の現金給付と金利引き下げを同時に進めている。これについて「CNN」は、「低金利、強い成長、追加の現金供給というバイデン時代の組み合わせを再び正当化している」と批判している。
◆トランプ氏、FRBに低金利を要求 関税収入で現金給付構想も
トランプ大統領は、インフレを刺激するリスクがあっても、株式市場の活性化と景気浮揚のためには金利を引き下げるべきだと主張している。好調な株式市場が年間の経済成長率を最大20%押し上げる可能性があるとの見方も示している。
また、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長には低金利を支持する人物を任命すると公言してきた。23日には自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「市場が好調な時に新しいFRB議長が金利を引き下げることを望んでいる。理由もなく市場を破壊してほしくない」と投稿した。
これに対し「CNN」は、トランプ氏の主張は一般論としては理解できるものの、高成長局面で金利を引き下げれば、景気過熱やインフレを招く恐れがあると指摘した。2021年の米国の実質経済成長率が6.1%だったことを踏まえ、「20%成長」という表現は典型的なトランプ流の誇張だとも評している。さらに、株式市場は投資家の経済見通しを反映するものであり、それ自体が経済成長の直接的な原動力ではないと付け加えた。
また、関税収入を原資として低所得層や中間層の国民に1人当たり2000ドル(約31万円)を給付する構想についても批判が出ている。供給能力の拡大を伴わずに可処分所得だけを増やせば、需要を刺激し、結果的にインフレにつながる可能性が高いためだ。
◆「関税」というインフレの決定要因も
トランプ政権は、「関税」という新たなインフレ要因も抱えている。今年初め、関税は予想ほど強いインフレ圧力を生みはしなかったが、米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は最近、消費者物価指数(CPI)の上昇率(2.7%)の主因の一つとして関税を挙げた。
トランプ大統領自身も、低金利政策や景気刺激策が将来的に問題を引き起こす可能性があることを一部認めている。また先週には、自身の政策によってインフレが懸念材料となった場合には、FRBが「適切な時期」に金利を引き上げることができるとしつつも、「今ではない」と述べた。
「CNN」は、「FRBは来年半ばまで金利を据え置くと見込まれている」とした上で、「雇用市場がさらに悪化すれば、インフレリスクを承知の上で金利引き下げを選択せざるを得なくなる可能性がある」と分析している。
















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