
中国で広がる誘拐への恐怖と誤解当局はSNSでのデマ拡散に警鐘
中国で、路上での誘拐や拉致をめぐる不安が再び広がっている。中国メディア「SOHU」などの報道によると、1月13日午後9時ごろ、中国の湖南省邵陽市大祥区で、路上での誘拐が疑われる通報があり、警察が出動したという。
関連映像には、乳児の母親の悲鳴を聞いて駆け付けた通行人たちが、一人の女性を取り押さえる様子が映っていた。駆け付けた市民らによって地面に押さえつけられ、手足を制止された女性は「ごめんなさい。二度と赤ちゃんに触れません」と繰り返し叫んでいた。保護者や目撃者らは、女性が乳児を誘拐しようとしたとして警察に通報し、現場に到着した警察官が女性を連行した。ネット上では当時の状況を映した動画が拡散し、誘拐への恐怖が一気に広がっている。
現地メディアは、女性が突然駆け寄り、親の腕に抱かれている乳児を奪おうとしたため、驚いた乳児がその場で泣き出したと報じた。恐怖が広がる中、1月15日、大祥区当局はこの事案について「誤解から生じたハプニングであった」とする調査結果を発表した。当局によると、連行された女性は「赤ちゃんがかわいくて近づいただけ」であり、母親がこれを誘拐未遂と誤認したという。また、双方は当局の仲介のもとで誤解を解き、すでに和解していると説明した。

米国務省、中国を人身売買「最悪レベル」に分類
米国務省は、中国の人身売買に関する国家評価を、最下位の3等級に分類している。中華人民共和国公安部は2025年、全国の公安当局が未解決事件や継続捜査中の案件を含め、550件の児童・女性誘拐事件を摘発・解決したと発表した。また、中華人民共和国最高人民検察院は2026年の業務報告で、前年に児童・女性の人身売買犯罪に関与した1,268人を起訴したと明らかにしている。
中国の司法当局は、人身売買事件は減少傾向にあると説明しているが、現地では依然として児童や女性の人身売買に対する懸念が根強い。このため、些細な誤解が誘拐や人身売買の疑いへとつながるケースも発生している。
2025年7月、四川省成都天府新区でも児童誘拐の疑いがあるとして通報が寄せられ、騒動となった。ネット上で関連映像が拡散し、路上での誘拐に対する懸念の声が相次いだ。当時、通報を受けた警察は30代の女性、チョン氏を拘束したが、調査の結果、犯罪の疑いは認められなかった。天府警察は、目撃者の証言や防犯カメラの映像を検証した結果、双極性障害を抱える女性が、路上で見かけた子どもを親族と勘違いして近づいたことが判明したと説明した。また、女性は子どもに近づいただけで、身体的接触や誘拐を試みた事実はなかったとしている。

「警戒心を損なうデマ、社会的コストの増大」
天府警察は「児童の安全を守ろうとする関心と警戒意識に深く感謝する」としながらも「ネット空間は無法地帯ではない」と指摘している。警察は「確認されていない情報を拡散・共有しないよう強く求める」とし「デマの流布は法律に基づき厳しく取り締まる」と警告した。
実際には犯罪者でない人物が「誘拐犯」としての烙印を押された場合、個人情報の公開や集団リンチ、職業的・社会的損失などの二次被害が生じる可能性が高まると説明している。同時に、犯罪予防の観点からも「映像がすなわち真実である」という認識が定着すれば、正規の通報や捜査手続きよりも世論による裁きが先行するという弊害を招きかねないと、現地の専門家らは指摘した。
専門家らは「事件を『誘拐未遂』と断定して拡散する行為は、不必要な恐怖を生み、さらなるリスクと社会的コストを増大させるおそれがある」と注意を呼びかけている。













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