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「もう米国だけには頼らない」カーニー首相、数十億ドルEV投資でトランプ関税への”対米自立”を宣言

望月博樹 アクセス  

出典:AP通信
出典:AP通信

マーク・カーニー・カナダ首相が5日(現地時間)、電気自動車(EV)分野でカナダを世界の主導国に押し上げるとして、数十億ドルのインセンティブや税制優遇を組み合わせた包括的な計画を発表したと、米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

カーニー首相は、新政策によってカナダ経済の転換を進めるとともに、ドナルド・トランプ米大統領の経済的圧力や、カナダの主権を巡る脅威によって両国関係が損なわれる状況下で、単一の貿易相手国への依存度を下げる狙いがあると説明している。

オンタリオ州の自動車部品工場で記者団に対し、カーニー首相は自国として自立が必要だとの認識を示し、他者の行動は自分たちでは統制できないと述べた。

トランプ大統領はカナダ製自動車に25%の関税を課しており、カナダの自動車産業にとって大きな負担となっている。カナダは生産車両の約90%を米国へ輸出してきたが、トランプ大統領は米国で販売される自動車は米国内で生産されるべきだとして、国内生産の大幅拡大を求めてきた。

カナダは米国車に対する報復関税を導入した一方、国内で自動車を生産する企業については関税を免除した。ただ、北米の自動車産業を一体化させてきた通商政策が、EVを狙った追加措置にまで及ぶ中、代替市場を急いで探さざるを得ないという緊迫感が高まっている。

カーニー首相は先月、米国が進める中国製EVの排除政策に歩調を合わせ、中国車に100%の関税を課した。しかし、その後は一部の中国製EVについて関税を引き下げた経緯もある。

さらに、韓国および韓国の自動車メーカーが、車両工場やバッテリー工場をカナダに建設するよう後押しする合意に達したという。アジア企業の存在感がカナダで増すほど、最終的には米国企業の競争力に影響し得るとの見方も出ている。

カーニー首相は年初、米国・カナダ・メキシコ協定(USMCA)の見直しに際し、自動車と自動車部品の自由貿易の復帰を目指す考えを示していた。ただ、トランプ大統領が同意していないことも認めている。

その上で、5日に打ち出した一連の措置について、通商交渉の結果に左右されず産業を世界最高水準へ引き上げると位置づけ、自信ある国が取る行動だと強調した。

カーニー首相は先月、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の演説でも、米国大統領が世界の政治・経済秩序に取り返しのつかない断絶をもたらしたとして、中堅国が互いを守る同盟を形成するよう呼びかけた。5日にも、カナダが米国以外の新たな投資家と活発に協議していると重ねて訴えている。

カナダ最大の人口地域であるオンタリオ州では、自動車の組立・部品製造部門が約12万5,000人を雇用している。かつては米国の自動車メーカーが産業を主導したが、現在はトヨタ自動車とホンダがカナダ生産の約4分の3を占める。

一方、トランプ大統領の再登板後、カナダの自動車分野では雇用が数千規模で失われたとされる。ステランティスはカナダ政府の補助金を受け、オンタリオ州ブランプトン工場でジープ車を生産する計画を進めていたが、これを取りやめて生産を米イリノイ州へ移した。

ゼネラル・モーターズ(GM)も先週、オンタリオ州オシャワのピックアップトラック工場で労働者約700人を解雇し、オンタリオ州南西部にある電動配送バンの生産工場を閉鎖した。

デトロイトの自動車企業の経営陣がトランプ大統領をなだめるような姿勢を見せたことも、カナダ国内の世論を悪化させたと伝えられている。先月には、フォード・モーターのビル・フォード氏がトランプ大統領を米ミシガン州ディアボーンの組立工場に招き、トランプ大統領は訪問先で、米国はもはやカナダやメキシコとの貿易協定を必要としないとの考えを示したという。

カーニー首相は5日、2035年までに全車両を無排出車へ切り替える義務を正式に廃止した。自動車メーカーが反対してきた制度だが、今後は車両の排出基準をさらに厳格化し、2040年までに新車販売の90%をEVが占める目標を掲げる。

政府はまた、昨年に終了したEV購入者向けの消費者補助金制度を復活させる方針も示した。カーニー首相は、この補助金は中国製EVには適用しないと明言している。

加えて、カナダ国内で自動車を生産するメーカーに、他社へ売却できるクレジットを付与し、一定の条件下で外国車を無関税で輸入できる仕組みを導入する考えも示された。

さらに、工場投資に対して22億~30億カナダドル(約2,520億~3,400億円)を支援し、無排出車メーカーの法人税率を引き下げるほか、EV工場や設備投資について加速償却を認めるとしている。

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