
米空軍のグローバル・ストライク・コマンド(空軍地球規模打撃軍団)が、地上発射型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマンIII」への追加弾頭搭載や、戦略爆撃機B-52全機の核兵器搭載能力を復元する準備が整っていると明らかにした。
米軍事専門メディア「ザ・ウォー・ゾーン」は11日(現地時間)、米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)が後続協定の議論がないまま失効した状況下で、米空軍がこうした方針を示したと報じた。米空軍が言及した内容は、これまで新STARTの枠組みで事実上制約を受けていた措置に当たるという。
現在、5州に分散配備されたサイロ(地下ミサイル格納庫)には、ミニットマンIIIが400基配備されている。各ミサイルには、米国が開発・運用する熱核弾頭のW78またはW87が1発ずつ搭載されている。
新STARTの下で米国は、ミニットマンIIIを弾頭1発に制限してきた。ただ、今回の方針転換により、ミニットマンIIIの推進系などを改修すれば、複数の核弾頭を同時に搭載できる可能性がある。
爆撃機についても運用の変更が視野に入る。米空軍が保有するB-52は76機で、このうち30機は現状、通常兵器のみを運用できる状態とされる。B-52の一部を通常兵器専用に切り替えてきたことは、新STARTに基づく義務の履行を進める上で一定の効果があり、戦略核戦力の配備規模を抑える方向に働いたとみられてきた。
しかし、新STARTが5日付で正式に失効したことで、米国が核戦力の運用制約を緩め、態勢を拡張するのではないかとの見方が出ている。

米空軍戦略部門の報道官はザ・ウォー・ゾーンに対し、新STARTの終了により、米国は「安全で確実かつ効果的な核抑止力の確保」という中核任務に、より集中して資源を投入できるようになったと説明した。B-52の核搭載能力の復元などを含む体系的な移行によって、作戦準備態勢や対応能力が一段と高まるとも述べた。
さらに同報道官は、ドナルド・トランプ大統領の指示があれば、ミニットマンIIIを多弾頭独立目標再突入体(MIRV)に転換できる能力を有しており、B-52の全機体制を長距離打撃やMIRV運用に対応できるプラットフォームへ移行させる余力もあると語ったという。
MIRVは、1発の弾道ミサイルに複数の核弾頭を搭載し、それぞれを別々の目標へ投下する技術を指す。1回の発射で複数目標を攻撃できるほか、弾頭に加えてデコイ(欺瞞体)などが混在し得るため、迎撃が難しくなるとされる。
一方で、失効直後の態勢拡張はロシアを刺激し、軍備競争を招く恐れも指摘されている。新STARTで制限されてきた装備へ核弾頭搭載能力を戻すには改修が必要になり、時間と費用の負担が避けられない。

ザ・ウォー・ゾーンは、ミニットマンIIIへの追加弾頭搭載に要する期間や費用は不透明で、必要な弾頭を迅速に確保できるかも見通せないと伝えた。米下院軍事委員会のアダム・スミス委員長も、防衛専門メディア「ディフェンスニュース」に対し、B-52全機の核搭載能力を復元する事業は巨額になるとの見方を示した。複数機のB-52を2050年まで運用できるよう寿命延長作業が進む中、追加コストが上乗せされると述べたという。
新STARTは、相手国の戦略核戦力の数量を制限し、相互検証する枠組みを柱とする。2010年4月8日にチェコ・プラハで署名され、2011年2月5日に発効した。両国は2021年に5年延長で合意し、失効時期は2026年2月に設定されていた。
ロシアは、2022年2月にウクライナ侵攻を開始した後、2023年に「条約参加の停止」を宣言した。さらに昨年9月には1年延長を提案したものの、米国は更新しない方針を示していた。
トランプ大統領は5日、SNSで、過去の協定に代わる「現代化された新たな協定」を望むと発信し、ロシアに加えて中国も含む大規模な核管理枠組みを構想として示した。マルコ・ルビオ米国務長官も翌日、国務省の発信で、従来の枠組みではなく新たな条約が必要だとした上で、米国がロシアと中国という2つの核競争国に直面し得る現実を反映させるべきだと述べ、中国の参加を求めた。
その後、米国は、米海軍が運用する戦略核潜水艦オハイオ級原子力潜水艦の運用戦力を拡大する方針を示した。オハイオ級は14隻で、各艦に弾道ミサイル発射管が24基あるが、条約遵守のため艦ごとに4基を非活性化してきたとされる。米紙ニューヨーク・タイムズは、条約上の制限がなくなったことで、発射管の再稼働計画が進んでいると報じ、この措置だけでも敵対国を威圧し得る核弾頭の規模が数百発単位で増える可能性があると分析した。
核政策をめぐっては、核実験再開の可能性も取り沙汰されている。ニューヨーク・タイムズは9日(現地時間)、トランプ政権関係者の話として、核兵器の追加配備や核実験再開の可能性が検討対象になっていると伝えた。実行に移れば、約40年にわたり維持されてきた厳格な核管理政策の転換につながり得るという。
こうした動きの背景については、国際秩序の中で米国主導の抑止力を立て直し、ロシアと中国に対する交渉上の圧力材料として活用する狙いがあるとの見方がある。ただ、中国は、保有量が米国やロシアよりはるかに少ない現状では、主要国との均衡に近づくまで交渉に参加しない立場を崩していないとされる。ロシアも新たな軍縮条約の枠組みに慎重な姿勢を見せている。

9日には、セルゲイ・リャブコフ・ロシア外務次官が、米国との新たな軍縮交渉手続きを開始する根拠はないと述べ、米国の近い同盟国で対ロ強硬姿勢を取る英国とフランスの核戦力を無視するのは無責任だと主張した。新協定には英国とフランスも含めるべきだという立場で、交渉の枠組みを拡大すれば条項調整に時間を要し、その間にロシアが核戦力運用の自由度を確保できるとの思惑も指摘されている。













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