
中国が台湾に侵攻し、アメリカが介入して米中間の戦争に発展した場合、世界の国内総生産(GDP)の約10パーセントが失われるとの試算が示された。このシナリオでは、日本のGDPは約14.7パーセント減少するとされ、世界経済に及ぼす影響の大きさが改めて浮き彫りとなった。
「ブルームバーグ・エコノミクス」は11日(現地時間)、台湾を巡る情勢の行方について、1.米中の武力衝突、2.中国による台湾封鎖、3.緊張の高まり、4.現状維持、5.和解・平和(緊張緩和)の5つのシナリオを想定し、それぞれが世界経済に及ぼす影響を推計した報告書を公表した。
報告書は、最も深刻なシナリオとして、米中が台湾を巡って軍事衝突に至る場合を想定した。この場合、世界経済に甚大な衝撃が及ぶと予測している。実際の戦闘がどの程度長期化するかを見通すことは困難であるとしながらも、初年度だけで世界経済から10兆6,000億ドル(約1,574兆円)が失われる可能性があると試算した。これは世界GDPの約9.6パーセントに相当し、新型コロナウイルス感染症のパンデミックや世界金融危機を上回る規模の打撃となる。
このシナリオでは、台湾のGDPが約40パーセント失われ、経済は壊滅的な打撃を受けるとされる。戦場に近い日本は14.7パーセント、韓国は23パーセントのGDP減少に見舞われると推計された。中国のGDPは11パーセント、アメリカは6.6パーセントの減少が予想されている。また、戦争が発生した場合、台湾産半導体の供給は深刻に制限され、世界貿易の要衝である台湾海峡が遮断される可能性が高い。これにより、アメリカと中国、ならびに両国のパートナーとの貿易は事実上停止し、人工知能(AI)への楽観論を背景に膨らんできた金融市場も大きく動揺するとみられる。「アップル」についても、TSMCからの半導体供給が途絶えた場合、iPhoneの販売台数が最大で90パーセント減少する可能性があると予測されている。
コンテナ海運業界への影響も甚大である。日本郵船や商船三井などの日本の船社では売上高が42パーセントから47パーセント減少する一方、HMMをはじめとする韓国の主要船社では38パーセントから43パーセントの減少が見込まれると予測された。
最も可能性が高いシナリオは、台湾を巡る緊張が高まる、あるいは現状が維持されるケースであるとされる。中国は、戦争や封鎖といった直接的な手段に踏み切る代わりに、軍用機や艦艇の接近活動を常態化させ、海上での統制権拡大を宣言するなど、緊張状態を既成事実化する可能性がある。この場合、短期的な経済的打撃は限定的にとどまるものの、企業の投資判断が先送りされ、サプライチェーンの多様化に伴うコストが増加する恐れがある。
一方、最も可能性が低いとされたのは、中国が台湾に直接侵攻せず、海軍と空軍を動員して事実上の封鎖に踏み切るシナリオである。この場合、台湾のGDPは12.5パーセント減少し、中国とアメリカもそれぞれ8.9パーセント、3.2パーセントのGDP減少に見舞われると推計された。
最後に、中国と台湾が持続的な平和を実現し、米中間の緊張が緩和されるシナリオでは、中国、台湾、アメリカのGDPはいずれも0.1パーセントから0.3パーセント増加すると予測された。報告書は、緊張緩和がもたらす潜在的な経済効果を示す一つの基準になるとの見方を示した。
















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