中東紛争で中国経済に二重圧力 輸入インフレと成長減速が重荷

中国人民銀行の貨幣政策委員会委員で、北京大学国家発展研究院長を務めるホアン・イーピン氏は31日、中東紛争に伴う輸入インフレが中国経済の重荷になっているとして、政策当局は物価上昇と景気減速の間で難しいかじ取りを迫られていると述べた。
聯合早報、香港経済日報、財訊快報によると、ホアン氏は同日、北京で開かれた記者懇談会に出席し、イランを巡る戦闘が中国経済に及ぼす影響と対応策について説明した。
ホアン氏は、中国の消費者物価上昇率がなお低い水準にとどまっており、政策対応の余地は残っていると評価した。一方で、輸入インフレの実際の打撃は、中東での戦闘がどの程度長引き、どこまで深刻化するかによって大きく変わるとの見方を示した。
なかでも最も懸念している点として、原油高が企業収益を圧迫することを挙げた。コスト増によって企業利益が損なわれ、実体経済全体に悪影響が及ぶ可能性があると指摘している。
そのうえで、通貨政策だけで輸入インフレを打ち消す力には限界があると分析した。ただ、物価上昇が幅広く波及する局面になれば、政策対応は避けられないとも強調した。ホアン氏は、物価上昇圧力と成長鈍化圧力の双方を見極めながら、均衡を保つ必要があると訴えた。
米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに中東情勢が緊迫し、世界の貿易とエネルギー市場には動揺が広がっている。エネルギー価格の急騰を受け、中国でも輸入物価の上昇圧力が強まった。
中国の物価動向をみると、国家統計局が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.3%上昇し、2023年2月以来の高水準となった。市場予想の0.8%も上回ったが、政府は2026年のCPI上昇率目標を約2%に据え置いており、政策面にはなお一定の余地があるとみられている。
ホアン氏は、中国がこれまで輸出主導で過剰生産能力を吸収してきたものの、最近は高関税などの保護主義的措置が広がり、世界市場の開放性が低下していると評価した。従来の成長方式では限界が大きくなっており、成長モデルの転換が必要だと強調した。
現在、中国の内需は個人消費と政府消費を合わせてGDPの約57%を占め、2010年の底からは持ち直している。ただ、世界平均の75%にはなお大きく届いていない。ホアン氏は、10年以上にわたり経済の再均衡は進んできたが、まだ十分とは言えず、この流れは今後も続くとの認識を示した。
さらに、労働供給が潤沢な構造のもとで賃金の伸びが十分ではなく、消費拡大が抑えられているとも指摘した。供給が強く、需要が弱い構造は依然として根本的に解消されていないという。
今後5年間は、消費のGDP比率が毎年1ポイント前後ずつ上昇することに期待を示し、その実現には家計消費の拡大と消費者心理の改善が欠かせないと訴えた。あわせて、新たな成長分野の育成など複数の政策手段を組み合わせ、経済構造の転換を進める必要があると付け加えた。
また、新興産業の発展過程では過剰投資が生じる可能性があるとして、中国当局が地方政府による投資誘致の場面で不適切な補助金支給を規制するなど、制度整備を進めている点にも触れた。そうした対応が進めば、過剰生産の問題も今後は段階的に和らぐとの見通しを示した。
一方、市場では、中国がイランを巡る戦闘以前から原油を相当量備蓄してきたことに加え、再生可能エネルギーの拡大で石油依存度が低下している点を踏まえると、短期的な打撃は限られる可能性があるとの見方も出ている。
















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