
米国の強力な輸出規制が、かえって中国半導体産業の自立を後押しする逆説的な構図が鮮明だ。AI需要の拡大と重なる形で先端チップの輸入が難しくなり、中国の巨大IT企業が国産半導体へ急速に軸足を移した。その結果、SMICや華虹半導体など主要ファウンドリーはそろって過去最高水準の実績を打ち出した。
米CNBCが現地時間3日に報じたところによると、中国最大のファウンドリーであるSMICの昨年売上高は前年比16%増の93億ドル(約1兆4,840億円)となり、過去最高を更新した。華虹半導体も昨年第3四半期だけで6億5,990万ドル(約1,050億円)を売り上げ、市場予想を上回った。
ただ、この成長は世界市場での競争力向上というより、輸入制限が招いた「強制的な内需シフト」の側面が強い。オールブライト・ストーンブリッジ・グループのポール・トリオロ氏は、米国の輸出規制について、中国国内の半導体需要にロケット燃料を投じたような効果をもたらしたと分析した。電気自動車やAIデータセンター向けのレガシー(汎用)工程需要を、中国企業が一気に取り込んだという見方だ。
実際、エヌビディアの先端AIチップ調達が頓挫すると、ファーウェイやムーア・スレッズなど中国の半導体設計企業が代替候補として浮上した。ムーア・スレッズは昨年売上高が前年比で最大247%増えると見込まれており、自らを「エヌビディアの対抗馬」と位置付けている。
メモリー分野での攻勢はさらに積極的だ。ブルームバーグによると、中国最大のメモリーメーカーである長鑫存儲技術(CXMT)の昨年売上高は550億元(約1兆2,750億円)に達し、前年比130%増となった。なかでも注目を集めるのが、AIアクセラレーターの中核部品である高帯域幅メモリー(HBM)戦略である。米国や韓国勢の技術力にはなお届かないものの、中国企業は旧世代規格のHBM2とHBM2eを大量採用し、実利確保を優先している。
もっとも、業界内ではこうした成長を冷静にみる声も少なくない。匿名を条件に取材に応じた韓国の半導体アナリストは、中国製HBM2について、最新のAI学習向けでは性能面の限界が明確だと指摘した。主な用途は中低価格帯のAI推論装置やエッジコンピューティング向けであり、先端工程を欠くことによる低歩留まりとレガシー品中心の数量攻勢は、将来的に収益性悪化の要因になりかねないとの見方を示している。
加えて、米議会では、すでに販売された半導体製造装置に対するサービス提供や技術支援まで制限対象を広げるMATCH Actが提出され、対中圧力は一段と強まった。今回の中国勢の伸びが持続可能な競争力の裏付けなのか、それとも制裁が生んだ歪んだ内需偏重にすぎないのかを巡り、議論はさらに広がりそうだ。
















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