ホルムズ海峡封鎖の余波、アジアから欧州へ広がるエネルギーショック

イラン戦争で引き起こされた原油価格の衝撃がアジアを超えて欧州やアフリカにも広がっている。
5日(現地時間)の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は英調査会社オックスフォード・エコノミクスの分析として、イランによるホルムズ海峡封鎖により世界の原油供給量が戦争前に比べて10%不足していると報じた。ホルムズ海峡は液化天然ガス(LNG)の主要輸送路でもあり、多くの国がLNGを使って発電や肥料生産を行っている。
供給不足の影響が最初に及んだのは湾岸地域に近いアジア・太平洋地域だった。日本、中国、韓国など一部の国は大規模な備蓄を抱えているが、多くのアジア諸国は国内備蓄が乏しく直ちに供給不足に直面した。
ドナルド・トランプ米大統領は3週間以内の作戦終結を表明しているが、戦争が終わったとしても損傷したエネルギー施設の復旧や輸送の遅れが続く可能性があり、供給が正常化するまでには相当な時間を要するとの見方が出ている。
こうした中、オーストラリアは国家の燃料在庫を毎週公表するなど、戦時対応に近い管理に入った。オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は「今回の戦争による経済的な打撃は今後数カ月にわたって続くだろう」と述べ、産業部門向け燃料の優先供給のため国民に公共交通機関の利用を呼びかけた。一部のガソリンスタンドでは1回当たりの給油量を制限している。
インド政府は鉄鋼、自動車、繊維、プラスチック工場などに供給する液化石油ガス(LPG)を戦争前の70%にまで減らした。バングラデシュでは天然ガスを使う尿素肥料工場の大半が稼働を停止した。世界最大のニッケル生産国であるインドネシアも今週から車両1台当たりの1日の燃料購入量を50リットルに制限した。
各国政府は燃料税の引き下げや補助金の支給などで消費者負担を抑えようとしているが、価格を人為的に抑え込めば需要が維持され、供給不足がさらに深刻化する可能性があるとの指摘も出ている。財政余力の乏しい国では、こうした政策を長く維持するのは難しい。実際、パキスタンでは戦争前よりガソリン価格が46%、軽油価格が約90%引き上げられた。
エネルギー危機はアジアを超えて欧州にも広がっている。欧州連合(EU)ではガソリン価格が15%、軽油価格が30%それぞれ上昇し、天然ガス価格は50%以上急騰した。
欧州は約4億5,000万バレルの原油・石油製品の備蓄を保有しており、当初の衝撃は和らげたが、備蓄の減少が進むにつれ政策は需要抑制へと転換している。さらに、一部のタンカーがより高値を提示したアジア向けに仕向け先を変えたことで、欧州の需給は一段と厳しさを増した。
EUエネルギー執行委員のダン・ヨルゲンセン氏は「石油、特に軽油や航空燃料の消費を減らすほど状況は改善する」と述べ、需要削減の必要性に警鐘を鳴らした。スロベニアは買い占めや、燃料ツーリズム(安い国で給油する動き)を防ぐため購入制限を導入し、スロバキアとハンガリーは国籍によって燃料価格に差を設けている。
欧州は湾岸地域の原油やLNGへの依存度はそれほど高くないものの、航空燃料など石油製品への依存は大きい。ライアンエアのマイケル・オライリーCEOは航空業界が5月頃にも航空燃料不足に直面する可能性があると警告した。
JPモルガンは同時期に米西部、特にカリフォルニアでも供給の混乱が起きる可能性があると警告した。現在、カリフォルニア州のガソリン価格は1ガロン当たり6ドル(約960円)近くに達している。















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