トランプ大統領「除去可能」と豪語したが
イランの440キロの高濃縮ウランの行方つかめず
監視体制崩壊「合意しても再構築に数年かかる」
イランが保有する440キロの高濃縮ウラン(HEU)が米国とイランの協議における重要な争点として浮上する中、米国がその所在の追跡に苦慮しているとの指摘が出ている。

9日(現地時間)ブルームバーグ通信は国際原子力機関(IAEA)の業務に詳しいウィーン駐在の関係者2人の話として、停戦発表後もIAEA査察団はウラン回収に向けた米国とイランの共同計画について何の通知も受けていないと報じた。ドナルド・トランプ米政権は高濃縮ウランがイスファハンの核施設近くのトンネルに集中的に保管されているとみているが、関係者らは現在その場所に残っているのは半分程度にすぎないと話している。残りはナタンズやフォルドゥなどの施設、あるいは別の未確認の場所に分散している可能性があるという。イランは昨年、IAEAに対し、自国の核施設が脅威にさらされた場合、当該物質を入れた容器を未申告の場所へ移す可能性があると警告していた。
昨年6月の米国とイスラエルによるイラン空爆まではIAEAがイランの核開発計画を査察・検証していた。その後、イランは高濃縮ウランの状態や所在をIAEAに通知しておらず、爆撃を受けた核施設へのIAEA査察団の再訪も認めていない。
ブルームバーグは今回の戦争などの影響で、数十年にわたり維持されてきたイラン核監視体制が損傷あるいは破壊され、現在はイランが保有する高濃縮ウラン全量の所在や状態を検証できない状況になっていると分析した。遠心分離機施設が攻撃を受け、継続的な管理体制も事実上崩壊したという。米国とイスラエルの空爆後、一部のウランが環境中に漏れ出た可能性もあり、その測定や回収作業はさらに複雑になっている。
こうした現状はトランプ政権の強気な発言とは大きく食い違っている。トランプ大統領は前日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルで「イランのウラン濃縮はもはや行われない。米国はイランと協力して地中深くに埋もれたB-2爆撃機による核の『塵』を掘り起こして除去する」と投稿した。さらに、この物質は米軍の空爆後も手つかずのまま残っており、衛星で継続的に監視されていると主張した。
ピート・ヘグセス米国防長官も同日の会見で「我々が確保する。我々が持ち帰る。我々が取り出す」と述べ、米軍がこの物質を直接確保できるとの認識を示した。
米国の核兵器技術者で元IAEA査察官のロバート・ケリー氏は「衛星画像はイランのウラン備蓄の所在を確認するうえで全く役に立たない」とし「米政権が容器の数について何らかの情報を持っている唯一の理由はその情報をIAEAが伝えていたからだ」と指摘した。
問題は広く知られている高濃縮ウランだけにとどまらない。イランは濃縮度の異なる濃縮ウランを8,000キロ以上保有しており、今後どのような合意が成立したとしても、これらも管理対象に含まれる可能性が高い。たとえ米国とイランが協力で合意したとしても、イランの核開発計画の実態を再び検証可能な水準まで立て直すには数年かかるとみられている。
また、イランの核関連インフラが弱体化しても、技術的知識や残存する物質を含む基礎的な能力そのものは残っており、今回の戦争がかえってイランにそうした能力の維持や拡大を図らせる誘因になりかねないとの懸念も出ている。
















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