「戦争屋」ネタニヤフ首相

米国とイランが停戦に入ったにも関わらず、イスラエルはレバノンの親イラン武装組織ヒズボラへの攻勢を強め、停戦に水を差す格好となっている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は8日(現地時間)、動画メッセージで「イスラエルには完遂すべき目標がまだ数多く残っている」と述べ、「合意を通じてであれ、再び始まる戦闘を通じてであれ、我々は必ずその目標を達成する」として、戦闘継続の意思をにじませた。さらに「(米国とイランの)停戦合意にヒズボラは含まれていない」とした上で、「彼らを引き続き攻撃する」と警告した。これは、イランと米国の停戦とは別に、イスラエルが独自に軍事作戦を続ける可能性を示した発言と受け止められる。
ロイター通信などによると、イスラエルは米国とイランの停戦発効初日となったこの日、見せつけるかのようにレバノンの首都ベイルートに空爆を加え、軍事力を誇示した。イスラエル軍は、レバノン南部にあるヒズボラの指揮所や軍事施設など100カ所以上を攻撃し、今回の空爆は開戦以降で最大規模だったと強調した。死傷者はさらに増える可能性があり、英紙ガーディアンは、少なくとも254人が死亡し、約1,400人の死傷者が出たと伝えた。ヒズボラは9日、イスラエルによる停戦協定違反を理由に、イスラエル北部に向けてロケット弾を発射し、対抗した。
イスラエルによるレバノン攻撃を巡っては、米国とイランの立場が食い違っている。米国のドナルド・トランプ大統領は、今回の停戦合意にレバノンは含まれないと述べた一方、イランは停戦を仲介したパキスタンに対し、合意違反だとして正式に問題提起した。イラン政府と革命防衛隊の立場を代弁するタスニム通信は、イスラエルによるレバノン攻撃を受け、イランが停戦合意を破棄する可能性があると伝えた。
イスラエルがレバノン空爆を続ける背景には、ネタニヤフ首相の政治的思惑があるとの分析もある。現在、汚職容疑で裁判を受けているネタニヤフ首相にとって、戦時の非常事態は司法手続きを遅らせる名分となり得るため、何としても戦闘を続けたい事情があるとの見方もある。ネタニヤフ首相は、トランプ大統領に対イラン戦争を働きかけた主要人物の1人ともされる。

「商売人」トランプ大統領

トランプ大統領が、イランとホルムズ海峡の通行料を共同徴収できるとの考えを示し、波紋を広げている。
トランプ大統領は8日、ABCの記者との電話取材で、「米国とイランがホルムズ海峡の通行料徴収を共同事業の形で進める案を検討している」と述べ、「これは海峡の安全を確保すると同時に、他の勢力から海峡を守る手段でもある」と自身の構想を説明した。これは、通行料徴収を黙認する段階から一歩踏み込み、米国が直接参加して共同で徴収・管理する事業モデルを示した格好だ。
トランプ大統領はこれに先立ち、イランとの停戦合意直後、「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「米国はホルムズ海峡の通航停滞の解消を支援する。多くの前向きな措置が取られるだろうし、大金も稼げるだろう」と述べ、ホルムズ海峡の再開通によって米国が利益を得る考えをにじませていた。さらに6日の記者会見では、イランによる通行料徴収について問われると、「米国が勝者なのに、我々が徴収してはいけないのか」と発言した。
トランプ大統領のこうした構想は、つい数日前まで「文明を破壊する」と威嚇していたイランを、「ビジネスパートナー」に変えようとするに等しい。ホルムズ海峡の自由な通航を停戦協議の優先条件として掲げていたトランプ大統領が、国際法違反の恐れがある通行料徴収事業に乗り出すのは矛盾だとの指摘が出ている。
米国以外の国々が、より大きな負担を強いられるのではないかとの懸念も強まっている。ポリティコ欧州版は、トランプ政権が主要な紛争費用を欧州に転嫁する構図が繰り返されているとし、「今後は船舶護衛や機雷除去作戦の費用だけでなく、戦争前にはなかった通行料まで支払わされる可能性がある」と伝えた。
ホワイトハウスは、現時点での優先課題は海峡の再開通だとの立場を示している。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は同日の記者会見で、「大統領の当面の最優先課題は、通行料の有無にかかわらず、いかなる制限もなく海峡を再開通させることだ」と述べた。
















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