
米軍は19日(現地時間)、海上封鎖違反を理由にイラン国籍の貨物船を拿捕した。13日にイランを対象とする海上封鎖作戦を開始して以降、約25隻の商船を進路変更させてきたが、武力を直接行使して船舶を制圧したのは今回が初めてとなる。米軍は、イラン船が指示に従わず逃走を続けたため、機関部に艦砲を撃ち込み停止させたとしている。これに対し、米側は弾道ミサイル開発に関わる制裁対象船舶だと説明し、イラン側は海賊行為だとして強く反発した。
6時間追跡の末に発砲
米中央軍(CENTCOM)は同日、「X」で公表した声明で、アラビア海で作戦中の米軍がイランの港へ向かっていたイラン国籍の貨物船に海上封鎖措置を実施したと明らかにした。米軍によると、誘導ミサイル駆逐艦スプルーアンスはこの日、イランのバンダルアッバースへ向かっていたイラン船籍のトゥースカ号を発見し、約6時間にわたり追跡を続けた。
中央軍は、トゥースカ号の乗組員が米軍の度重なる警告に応じなかったと説明した。そのうえで、スプルーアンスが無線で乗組員に機関室から退避するよう指示した後、127ミリ砲「Mk45」を発射し、トゥースカ号の推進機能を無力化したとしている。
公開された映像には、スプルーアンスがトゥースカ号に対し、無力化のため発砲する準備があると警告した直後、少なくとも3発の艦砲を発射する様子が収められている。その後、ヘリコプターで第31海兵遠征部隊の隊員が乗り込み、船舶を制圧した。同部隊は今年3月、沖縄から中東へ派遣された部隊である。
制裁対象船舶か 中国の化学物質積出港を経由
トゥースカ号は、国営企業であるイラン・イスラム共和国海運(IRISL)の子会社が運航する船舶だ。IRISLはこれまで、イランの弾道ミサイル開発に関与したとして、米国と欧州連合(EU)の制裁対象に指定されてきた。米軍関係者は米紙ニューヨーク・タイムズに対し、トゥースカ号について、米情報当局の分析官らが封鎖線の内外で最近注視していた要警戒船舶の一つだったと語った。
米スタンフォード大学の国家安全保障革新センター傘下にある海洋透明性機関シーライトのレイモンド・パウエル氏は「X」で、同船が中国の港に頻繁に出入りしていたと指摘した。先月9日と10日、さらに29日と30日の2回にわたり珠海の高欄港へ寄港し、その間の11日間は上海近海の東シナ海を航行していたという。シーライトは、違法な積み替えが行われる海域に長時間滞在していた点を踏まえ、密輸の可能性があるとの見方を示した。海運情報会社ウインドワードも、同船が密輸に関与していた可能性は高いとみている。
さらに同船は、東シナ海滞在中に約2.4日間にわたり船舶自動識別装置(AIS)を停止して航行していた。米紙ワシントン・ポストは、トゥースカ号が珠海の化学物質貯蔵港である高欄港に停泊していたと報じ、この港が固体ロケット燃料の主要原料である過塩素酸ナトリウムなどの積出港だと伝えた。積み荷の詳細はなお確認されていないものの、中国から調達されたミサイル原料が含まれていた可能性があるという。
現在、トゥースカ号はアラビア海上で拘束されており、捜索終了後にオマーンへえい航する案が検討されていると伝えられている。イラン軍とイスラム革命防衛隊を統合指揮するハタム・アル・アンビヤ中央軍事本部は同日、報道官を通じて今回の拿捕を海賊行為と位置づけた。そのうえで、軍事的対応を継続する方針も示している。













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