
中東情勢に起因するインフレ懸念が広がる中、米中央銀行(Fed)である連邦準備制度理事会(FRB)は今年、3会合連続で政策金利を据え置いた。ホルムズ海峡の緊張感が続く中、原油価格の上昇が物価への圧力を強めている。
FRBは29日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利を現在の3.5〜3.75%に維持することを決定した。1月から3会合連続の据え置きとなる。今回の決定では、ドナルド・トランプ米大統領に近いスティーブン・マイロン理事のみが金利引き下げを主張して反対票を投じた。
FRBは声明で「雇用の増加は平均的に低い水準にとどまり、失業率もここ数カ月間ほぼ横ばいが続いている」とした上で、「インフレは最近の世界的なエネルギー価格の上昇を受けて高い水準に上昇している」と述べ、物価・雇用の双方に懸念を示した。
注目されるのは、今回の声明で金利据え置き自体には賛成しながらも、金利引き下げへの傾斜に反対したベス・ハマック氏、ニール・カシュカリ氏、ローリー・ローガン氏の3名が異論を唱えた点だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「過去2年間にわたり、利上げより利下げの可能性が高いとする『緩和バイアス』の維持に反対した」と解説している。引き下げを主張したマイロン理事と合わせると事実上4名が反対に回ったとの見方もあり、反対票が4名に達するのは1992年以来初めてとなる。

今年3月に、FRBはドットチャートで今年1回の利下げを見込んでいた。しかし市場では原油高の影響で今年中の利下げは難しいとの見方が広がっている。この日のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のフェドウォッチによると、12月まで金利が据え置かれる確率は90%に達しており、主要投資銀行(IB)も12月にようやく利下げが可能になると予測している。
中東情勢の影響が反映された3月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.3%上昇し、前月(2.4%)から伸びが大幅に拡大した。エネルギー指数は前月比10.9%急騰しており、原油高に起因するインフレ懸念が一段と高まっている。
原油価格は中東情勢に応じて変動しているものの、上昇圧力が強い状況だ。ブレント原油は1バレル110ドル(約1万7,200円)を超えており、米西部テキサス産原油(WTI)も100ドル(約1万5,700円)を再び上回った。これを受け、米国内のガソリン価格は28日時点で1ガロン4.18ドル(約657円)に達し、2022年8月以来3年と8ヶ月ぶりの高値を記録している。中東情勢が悪化する前と比べると40%急騰だ。
一方、雇用状況は相対的に安定している。3月の非農業雇用は17万8,000件増加し、予想を大きく上回った。失業率も4.3%で安定した姿を見せている。
ケビン・ウォーシュ氏が5月就任へ…利下げ方針に変化はあるか
局面を左右する変数として注目されるのが、5月からFRBを率いるケビン・ウォーシュ氏の登場だ。この日、米国上院銀行委員会は次期FRB議長候補であるウォーシュ氏に対する承認案を可決した。上院本会議で承認されれば、来月15日に任期を終えるジェローム・パウエル議長の後任となる。
ウォーシュ氏は公聴会で、トランプ大統領をはじめとする政治的圧力に対して金融政策の独立性を守ると明言した。ただ市場では、大幅な利下げを求めるトランプ大統領の圧力をかわせるか、懸念の声も上がっている。
また、ウォーシュ氏は公聴会でFRB改革とともにインフレ指標の見直しを訴えて波紋を呼んだ。FRBが主な指標として用いる個人消費支出(PCE)価格指数よりも伸び率が大幅に低く算出される手法の採用を主張している。
パウエル議長については、議長退任後もFRB理事として留任することが決まっており、FRB内の意見対立が一層深まる可能性がある。パウエル議長はこの日の記者会見で「議長任期終了後もFRBに残ることにした」と述べ、「適切な時期と判断するまで留まる」と明かした。議長としての任期は来月15日に終了するが、理事としての任期は2028年1月まで続く。
















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