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ロシア「ウクライナ首都キーウ駐在の大使館・国際機関は避難せよ」

荒巻俊 アクセス  

出典:タス通信
出典:タス通信

ロシアは、ウクライナの首都キーウに滞在している外国の外交使節団や国際機関の代表部に対し、避難を呼びかけた。5月9日のロシア戦勝記念日にウクライナがモスクワを攻撃した場合、報復攻撃は避けられないとの理由からだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に停戦交渉を呼びかけた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の発言を、ロシア側が「モスクワ攻撃の脅威」と位置づけた形で、専門家らは、ロシアが戦勝記念日を口実にウクライナへの攻撃を正当化しようとしている可能性を指摘している。

ロシア外務省は7日、外交公電を通じて、「ウクライナ政権が偉大な戦勝記念日の祝賀期間中に犯罪的なテロ計画を実行した場合、ロシア連邦軍による報復攻撃は避けられない」とし、「ウクライナの首都キーウにある大使館およびその他の代表部は、職員と自国民を事前に避難させるよう強く要請する」と発表したと、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が明らかにした。

ザハロワ報道官は同日の映像声明で、「今回の措置は、4日にアルメニアで開かれた欧州政治共同体(EPC)首脳会議で、ゼレンスキー大統領がロシアの戦勝記念日を妨害するとした攻撃的かつ威嚇的な発言を行ったことが原因だ」と主張した。ロシア側は、ゼレンスキー大統領がロシアの戦勝記念日に首都モスクワを攻撃すると公然と脅迫したと受け止めている。

ザハロワ報道官の主張とは裏腹に、4日に行われたゼレンスキー大統領の演説全文には、「ロシアを攻撃する」といった発言は含まれていなかった。ただ、ゼレンスキー大統領は「今年の夏は、プーチン大統領が戦争を拡大するのか、それとも外交へ進むのかを決断する時期になる」と述べ、「ロシア国防省が、ウクライナの善意なしにはモスクワで軍事パレードを開けないとすでに考えているのであれば、ロシア指導部が戦争終結に向けた実質的な措置を取る時が来たということだ」と語った。ロシア側は、ゼレンスキー大統領による停戦交渉の呼びかけを攻撃的な発言と受け止め、軍事対応を予告した形となった。また、ゼレンスキー大統領は、停戦期間中も続くロシアの空爆に言及し、「我々は鏡のように行動する」と述べた上で、仮にロシアへの攻撃に踏み切った場合でも、それは比例的対応の性格を持つ行動になるとの考えを示した。

ザハロワ報道官はさらに、ゼレンスキー大統領の演説時に同席していた欧州連合(EU)加盟国が彼を制止しなかったと指摘し、「公然と示された脅威に対して沈黙したり、隠し通せると思っているなら大きな誤りだ」と主張した。続けて、「ウクライナを武装させている彼らこそ、ウクライナ政権の犯罪的計画を支援する共犯者だ」と非難した。その上で、「我々は侵略の立場に立っているのではなく、侵略に対する避けられない対応の立場にいる」とし、「これこそが、ロシア国防省による今後の声明と我々の後続措置を受け止めるべき正しい方法だ」と強調した。

こうしたロシア側の立場表明については、9日にモスクワの赤の広場で行われる戦勝記念日パレードを、ウクライナ軍によるドローン攻撃の可能性から事前に防御するとともに、今後のキーウ攻撃を正当化する狙いがあるとの見方も出ている。戦争研究所(ISW)は、「ロシア国防省が、5月9日の戦勝記念日行事への脅威を口実にキーウ攻撃の可能性に言及していることは、クレムリンの公式説明と実際の戦況との乖離が拡大していることを示している」と分析した。また、「ロシア側は、戦勝記念日という象徴的意味を軸に脅威の構図を作り上げようとしている」と指摘した。さらに、「ロシアの民族主義的な軍事ブロガーの間でも、国防省が攻撃の口実として戦勝記念日に依存していることへの批判が出ている」と伝えた。

ロシアの戦勝記念日を前に、ロシアとウクライナはそれぞれ独自の休戦日程を打ち出し、応酬を繰り広げた。ウクライナ当局は、自ら発表した休戦発効時刻であるキーウ時間6日午前0時(日本時間同日午前6時)以降も、ロシア軍がザポリージャのインフラ施設を攻撃したと明らかにした。一方、ロシア国防省は4日、戦勝記念日に合わせて8~9日に休戦を実施すると発表し、ウクライナ側にも今回の休戦計画に応じるよう求めた。その上で、「ウクライナ政権が戦勝記念行事を妨害する犯罪的な計画を実行に移した場合、ロシア軍はキーウ中心部に大規模なミサイル攻撃を行う」と警告した。

ロシアは例年、戦勝記念日などの記念行事を大規模に実施してきたが、今年は先端兵器の展示を取りやめるなど、規模を縮小した。また、5日午前から戦勝記念日当日の9日まで、モスクワ市内の無線インターネット通信も遮断する方針だ。

ウクライナ当局によると、ロシア軍は、ウクライナ側が設定した休戦発効時刻前の5日に、ポルタワ、ハルキウ、ドネツク、ドニプロ、ザポリージャ、ヘルソン、オデーサ、チェルニーヒウ、スームィなど各地を攻撃した。ウクライナのイホル・クリメンコ内相は、5日の攻撃により28人が死亡し、少なくとも120人が負傷したと発表した。

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