「ウクライナの次は欧州なのか」ロシア戦域拡大に警戒、NATO結束を試す動きも
ロシアの戦域拡大に欧州警戒…ウクライナ外への拡戦懸念

ウラジーミル・プーチン露大統領が膠着状態に陥っているウクライナ戦争の局面打開を図るため、戦火をウクライナ国外に拡大させる可能性への懸念が高まっていると米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が26日(現地時間)に報じた。
ここ数週間、ロシアによるバルト三国への発言は一段と強硬さを増している。ロシアはラトビアがウクライナのドローン操縦士を支援していると非難し、ラトビアの意思決定中枢を攻撃対象とする可能性を示唆したが、ラトビア側はこれを否定している。
また先週には、リトアニアでベラルーシ方面からロシアのドローンが領空に接近した疑いがあるとして空襲警報が発令され、政府関係者が一時避難する事態も起きた。
ロシア国防省はさらに、ウクライナへの軍事支援を停止しなければ「予測不能な結果」と「急激な拡大」を招くと警告し、ウクライナのドローン生産に関与しているとみられる欧州8カ国の企業所在地を公表した。
ロシアが欧州へ戦線を広げる可能性は以前から指摘されてきたが、最近はその懸念が一層強まっている。複数の欧州安全保障当局者は、ロシアがバルト海にあるスウェーデンやデンマークの島嶼部、あるいは北極圏に位置する北大西洋条約機構(NATO)加盟国の領土を標的とし、NATOの結束力を試す可能性があると警告している。
スウェーデンのポール・ヨンソン国防相は「過去24カ月で欧州の安全保障環境は悪化した。ロシアはハイブリッド作戦でより大きなリスクを取る傾向を強め、場合によっては武力攻撃も辞さない姿勢を見せている」と述べた。
こうした中、ドナルド・トランプ米大統領によるNATO離脱示唆や欧州駐留米軍の削減を巡る動きが抑止力を弱めているとの懸念も浮上している。
欧州の高官らは、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰が欧州の政治的不安定化を招き、ロシア産石油・天然ガスの購入再開やウクライナ支援縮小を主張する極右勢力が台頭することで、ロシアが今後12カ月以内に好機と判断する可能性を懸念している。
フランスのバンジャマン・アダッド欧州担当相は「ロシアの狙いは欧州全体の安全保障構造を揺るがすことにある。だからこそ警戒を強め、ウクライナ支援と欧州再軍備を継続する必要がある」と強調した。
一方、複数の欧州情報・軍関係者は、現時点でロシアがバルト海沿岸諸国やウクライナ国外への攻撃に向けて兵力や装備を移動させている兆候は確認されていないと指摘する。
西側情報機関の推計では、ロシア軍は毎月約3万5,000人規模の損失を被っており、現在の戦闘を維持するには追加動員が不可避になるとの見方が強い。
欧州連合(EU)のカヤ・カッラス外交安全保障上級代表は「再び大規模動員を行えば、ロシアが戦況を有利に進められていないことを示すことになる」と指摘した。続けて「動員を正当化するため、戦線拡大に踏み切る可能性がある。それは極めて危険な局面だ」と警告した。
ウクライナの安全保障専門家オレクサンドル・ダニリュク氏も「ロシアは人的・物的資源の減耗に直面しており、現状のまま戦争を続ける余力は乏しい」と分析する。
ダニリュク氏はロシアが核兵器を実際に使用せずとも、核による威嚇などで軍事的圧力を強化し、戦線をウクライナ国外に拡大することで、より有利な条件での戦闘停止を模索する可能性があると指摘した。
ロシアは今月、ベラルーシへの核弾頭配備を想定した突然の核演習を実施した。また、キーウへの大規模ミサイル・ドローン攻撃を示唆し、外国公館や市民に退避を促している。
ロシアがウクライナ戦争で困難に直面しているにもかかわらず、欧州全体の勢力均衡を塗り替えるというプーチン大統領の戦略目標に変化は見られない。
ウクライナ外務省のマリアナ・ベッサ次官は「ロシアは戦術を変えても、戦略と目標は変えていない。自ら立ち止まることはなく、ロシアの帝国主義的野心は依然として続いている」と警戒感を示した。















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