
米国とイランが停戦を60日延長する暫定合意に近づく中、米国はイラン軍部の原油取引網に対する追加制裁に踏み切った。
米財務省は28日(現地時間)、イラン軍部の原油輸出に関わった船舶8隻と15を超える機関・企業を対象とする新たな制裁を発表した。米国とイランが停戦延長とホルムズ海峡の航行制限緩和に向けた暫定合意に達したとされる中で打ち出された措置となる。
米財務省は、イラン産原油と石油製品を国際市場へ運ぶ船舶8隻を制裁対象に指定した。対象には、マーシャル諸島船籍のケミカル・石油タンカー「フローラ(Flora)」、コモロ船籍の原油タンカー「ハウンカヨ(Hauncayo)」、パナマ船籍の原油タンカー「イル・ギャップ(Ill Gap)」などが含まれる。
企業への制裁も広げた。米国は、香港のワース・シーン・エナジー(Worth Seen Energy Limited)、同じく香港のメフディエフ・トレーディング(Mehdiyev Trading Co., Limited)、ドバイのシンフォニー・シッピング・アンド・マリタイム・マネジメント(Symphony Shipping and Maritime Management Inc)など、15を超える機関・企業にも制裁を課した。
財務省は、一部のイラン機関が海外で石油製品を確保する過程で、イラン軍部の原油販売インフラを利用していると説明した。例えば、ワース・シーン・エナジーは、すでに米国の制裁対象となっているイラン軍参謀本部傘下の原油販売組織「セペフル・エナジー・ジャハン(Sepehr Energy Jahan)」に代わり、イラン国営石油会社(NIOC)の精製石油製品調達を担っていたとされる。
米国のスコット・ベッセント財務長官は声明で、「我々は、イラン政府が軍と軍事能力を再建する目的で原油収入を増やすことを認めない」と述べ、「イラン軍部の原油取引網を引き続き標的にしていく」と強調した。
今回の措置は、米国とイランが停戦延長交渉を進める中で発表された点でも注目されている。これに先立ち、米国とイランは停戦を60日延長し、イラン核プログラムをめぐる協議を再開する内容の了解覚書(MOU)について、原則合意に至ったと伝えられていた。ただ、この計画は米国のドナルド・トランプ大統領による最終承認を残している。
トランプ大統領は、交渉に対してなお慎重な姿勢を崩していない。前日の閣議では「戦争の終結は近づいている」と述べる一方、「交渉内容にはまだ満足していない」として、イラン側の核心的な要求である対イラン制裁の緩和については協議対象にしていないと明らかにした。
市場では、米国が軍事衝突の拡大ではなく、経済制裁と原油輸出規制を通じて交渉力を高める戦略を選んだとの見方が出ている。世界の原油・ガス輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡の航行正常化が実現するかどうかも、国際原油価格の動向や世界的なインフレに影響を及ぼす要因として注目される。
















コメント0