
米国のドナルド・トランプ大統領が、イランとの終戦に関する了解覚書(MOU)の締結が間近だと公に言及する中、イスラエル軍がレバノンのベイルートを空爆し、MOU締結に向けた最大の不安材料として浮上した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、2月28日にイランへの開戦空爆に踏み切って以降、戦争の主要局面を自らに有利な方向へ導き、今回の戦争は「ネタニヤフの戦争」とも評されてきた。終戦に向かう局面でもイスラエルは独自路線を崩しておらず、米国とイランの終戦交渉に重荷を加えているとの指摘が出ている。
トランプ大統領は14日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「今朝のベイルートに対する(イスラエルの)攻撃は起きるべきではなかった」と投稿した。さらに「我々がイランとの和平合意に極めて近づいている特別な日なら、なおさらだ」と強調している。トランプ大統領は「イスラエルには脅威から自国を守る権利があるが、イスラエルが対応した攻撃は非常に小さく、意味のないものだった。負傷者もいない」と指摘した上で、「この重要な手続き(MOU締結)を妨げてはならない」とくぎを刺した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と同国のイスラエル・カッツ国防相は同日、イスラエル空軍がその直前、レバノンの首都ベイルート南郊にあるヒズボラの標的を空爆したと発表した。両者は「イスラエル軍は、ヒズボラがイスラエル領土に攻撃を加えたことへの対応として、ベイルートのダヒエ地区にあるヒズボラのテロ施設を攻撃した」と説明し、「イスラエルは自国領土を狙ったいかなる攻撃も絶対に容認しない」と強調した。
イランは強く反発している。イランの終戦交渉を率いるモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ国会議長はSNSで、「シオニスト(イスラエル)によるダヒエ侵攻は、米国に自らの約束を履行する意思がないか、あるいは履行する能力が足りないことを改めて明確に示している」と主張する。さらに、米国はイスラエルの軍事行動を黙認しながらイランに譲歩を迫る、いわゆる「役割分担」戦術を使っているとの見方を示した。ガーリーバーフ国会議長は「イスラエル政権に青信号を出したところで、(イランから)いかなる譲歩も引き出せない」とし、「『良い警官と悪い警官』(Good cop, Bad cop)式の役割分担ごっこは、すでに時代遅れの手法だ」と批判している。
イラン外務省も「イスラエル政権が行った犯罪と、レバノンおよびイランを狙って繰り返してきた停戦違反について、米国政府には直接的な責任があることを改めて想起させる」と表明した。さらに「イランは固有の権利である合法的な自衛権を行使するため、必要なあらゆる措置を取る」と警告している。
一方、イスラエルは終戦MOU締結が頓挫する可能性を意に介していない様子だ。イスラエル軍のエヤル・ザミール参謀総長はベイルート空爆直後、指揮官らと状況評価を進めており、イランがイスラエルに向けてミサイルを発射する可能性が高いと判断している。イスラエル軍は「さまざまな防御・攻撃シナリオに備え、万全の準備と警戒態勢を維持し続けている」と説明し、「イスラエル領土に向けたいかなる攻撃も絶対に容認しない」と改めて強調した。













コメント0