
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し期限が目前に迫っている。こうした中、米国のドナルド・トランプ大統領が協定を延長するかどうかについて疑問を呈し、交渉の先行きが不透明になったとの見方が出ている。
トランプ大統領は10日(現地時間)、ホワイトハウスの執務室で行われた質疑応答で、USMCAの延長について「延長するかどうかは分からない」と述べた。
トランプ大統領は、カナダとメキシコの方が米国より協定に依存していると主張した。「われわれはカナダやメキシコが持っているものを何も必要としていない」と述べた上で、「しかし彼らは、われわれが持っているすべてを必要としている」と強調した。具体的には自動車や木材、エネルギーを挙げ、米国には必要ないとの考えを示した。しかし、これらは米国が両国から主に輸入している品目だ。
USMCAは、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる協定として、第1次トランプ政権下の2020年7月に発効した。当時、3カ国は協定の有効期間を16年に設定し、6年ごとに見直すことで合意した。これに伴い、3カ国は来月1日から、協定の履行状況を共同で検討する必要がある。いずれか1カ国が協定からの脱退を宣言した場合、協定は終了する。
米通商代表部(USTR)は、すでにUSMCAの再交渉に入っている。米国側では、ジェイミソン・グリア通商代表がメキシコとの交渉を始めた。メキシコ代表団は来週、ワシントンを訪問し、追加交渉を進める予定だ。初回会談で米国側は、米国産自動車部品の比率を高める案を提案したとされる。カナダのドミニク・ルブラン対米貿易担当相も今月初め、ワシントンを訪問し、グリア代表と会談し、交渉開始について協議した。
ただ、トランプ大統領の今回の発言により、USMCA交渉が難航するとの見方も出ている。一方で、北米貿易を巡り、トランプ大統領の威嚇が現実になった例は少ない。トランプ大統領はこれまで、協定の破棄に何度も言及してきたが、実際に破棄されたことはない。ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権はむしろ昨年、USMCAの規定を満たす商品の大半を関税の対象から除外しており、協定を間接的に認めた形だと分析した。そのため、トランプ大統領特有の交渉術である可能性もある。
現在、カナダとメキシコから米国に輸入される商品の大半には無関税措置が適用されている。昨年、米国が両国から輸入した商品の規模は9,000億ドル(約144兆800億円)を上回った。
一方、トランプ大統領の攻撃的な発言が続く中、カナダとメキシコでは懸念も強まっている。トランプ大統領は特に、カナダが米国の51番目の州になるべきだと発言するなど、圧力を強めてきた。カナダ銀行総裁出身のカナダのマーク・カーニー首相の政権発足も、トランプ政権への反発が追い風になったとの見方がある。カーニー首相は、今後10年以内に米国以外の市場へのカナダの輸出を2倍にすると公言し、昨年、20件以上の経済・安全保障協定を締結した。
米国が自国第一主義の壁を高くするほど、中国がカナダとメキシコで影響力を強める可能性も指摘されている。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、論説「トランプ氏はカナダとメキシコを中国に追いやっている」で、「トランプ大統領は、他の2カ国が将来性を見込む新技術を拒否し、貿易圏を損なっている」と批判した。













コメント0