
米国はイランとの戦争終結に向けた交渉を進める中、凍結資金の解除を巡る新たな構想を検討している。今後解除されるイラン資産の使途を食料購入に限定し、とりわけ米国産農産物の購入に充てさせる案が柱となる。
米国のJ・D・バンス副大統領は22日(現地時間)、スイスで開かれたイランとの続く高官級協議を終えた後の記者会見で、「イランの凍結資金が解除される場合、その資金は米国の農家の所得を増やし、イラン国民に食料を供給するために使われる」と述べた。米国とカタールが、当該資金の使用を承認・管理する役割を担うと説明した。
米国のドナルド・トランプ大統領も同日、ホワイトハウスで大統領令に署名した後、記者団に同様の構想を明かした。「我々が検討している措置の一つは、凍結解除された資金を食料の購入に使うことだ」とした上で、「トウモロコシや大豆を含め、イランが必要とする農産物はすべて米国の農家から購入することになる」と語っている。さらに、「農家は非常に満足している」と付け加えた。
トランプ政権はカタールと協力し、イランが解除資金を武装組織への支援や地域における影響力の拡大に充てられないよう、資金の流れを管理する方針だ。この案は、資金がテロ支援に流入する懸念を抑えると同時に、米国産農産物の輸出増加も狙ったものと受け止められている。米国の農家がトランプ大統領の中核的な支持基盤であることから、政治的な狙いも背景にあるとの分析が出ている。
バンス副大統領によると、この案は、トランプ大統領の娘婿で、対イラン交渉チームに加わっているジャレッド・クシュナー氏が提案したという。バンス副大統領は帰国の途上、記者団に対し、この構想が前日に開かれた米国とイランの高官級協議でも議題になったと明らかにした。
また、バンス副大統領は、米国がカタールに対し、資金の使途を監視できる制度的な枠組みの整備を要請し、カタールもこれを受け入れたと説明した。核交渉など主要懸案で実質的な進展が得られるまで、凍結資金は解除されないとの見通しを示し、関連問題は今後の協議における主要議題になると強調している。
ただ、この構想が実行に移されるかは不透明だ。特に、イランが資金の使途を米国産農産物の購入に限る条件を受け入れるかどうかは見通せない。イラン政府は現時点で、バンス副大統領の発言に対する公式見解を示していない。
実務上の課題も残っている。米国とカタールが資金の流れをどのように管理し、目的外使用をどう防ぐのか、具体策は明らかにされていない。一部では、凍結解除資金で食料の購入費用を賄うことになれば、イラン政府が別分野に振り向けられる財政的な余力を結果的に確保することにもなりかねないとの指摘が出ている。
一方、米国が資金管理のパートナーにカタールを選んだ点も注目される。カタールはパキスタンとともに、最近の米国とイランの戦争終結交渉を仲介してきた。韓国で凍結されていたイラン産原油の売却代金60億ドル(約9,700億6,800万円)は、現在、カタールの首都ドーハにある口座に保管されている。
この資金はもともと韓国の金融機関に凍結されていたが、2023年9月、ジョー・バイデン政権がイランとの拘束者交換に合意したことを受け、カタールへ移管された。
イランの海外凍結資産は、巨額に上るとみられている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は以前、中国で凍結されているイラン資産だけでも200億~500億ドル(約3兆2,300億円~約8兆840億円)に上ると推計した。さらに、イラクには約150億ドル(約2兆4300億円)、インドには70億ドル(約1兆1,300億円)、日本には30億ドル(約4,850億円)、米国とルクセンブルクにはそれぞれ20億ドル(約3,230億円)規模のイラン資産が凍結されていると伝えられている。













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