
米国のドナルド・トランプ大統領は23日(現地時間)午前、イランが「遠い将来にわたって(無限に)最高レベルの核査察」を許可することに完全に同意したと、SNSに投稿した。
だが、トランプ大統領は、イランが核拡散防止条約の署名国として、国際査察団の入国を許可する義務があるという事実には触れなかった。また、イランはトランプ大統領の投稿の前に、米国が1年前に爆撃した主要な核施設に査察団を入れる計画はないと主張していた。
トランプ大統領の手法は、望む結果をすでに完全に交渉済みの個別の合意のように描き、イラン側を最終的な合意の各要素に縛り付けようとするものだ。
イランはこのパターンを見抜いたようだ。そのため、トランプ大統領の発表にある程度の事実が含まれていても、米国の主張を即座に公然と否定することで対応している。窮地に追い込まれるのを避けるためだ。
これに関連して、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ大統領の主張とイランの反論の両方に、一部、真実が含まれていると報じた。
イランの否定にもかかわらず、先週末にスイスで行われた交渉で査察の問題が議論されたと、交渉に詳しい当局者2人が明らかにした。検討中の案は、国連の核査察機関である国際原子力機関(IAEA)に、短い事前の通告だけで、疑わしい施設のほぼすべてを査察できる広範な権限を与えるというものだ。
これは2月にジュネーブで、トランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏と、特使のスティーブ・ウィトコフ氏がイラン当局者と議論していた内容だ。トランプ大統領が突然イラン攻撃を命じたことで交渉が中断される前まで、言及されていた構想を、今回再び持ち出したものだ。
先週末、ラファエル・グロッシIAEA事務局長は、スイスの交渉の場で米国とイランの間を行き来し、核燃料が兵器開発に転用されないことを保証するために、査察チームにどのような種類のアクセス権が必要かを説明したと伝えられている。
イランはこの概念には同意しているように見えたが、凍結資金にいつアクセスできるかを含む合意のほかの部分が整理されるまで、日付や詳細には合意しようとしなかった。
これを受け、イラン外務省のエスマイール・バガーイ報道官は、J・D・バンス米副大統領が、イランがIAEAの査察団のすべての査察に同意したと発表した直後に、即座に反論した。米国が爆撃したナタンズ、フォルドゥの施設に、査察団のアクセスを許可する計画はないと明言したのだ。実際、当面そのような計画はない。
すると、トランプ大統領は23日、査察がなければ合意もないと言明した。マルコ・ルビオ国務長官は、より慎重な態度を示した。
ルビオ国務長官は「彼らがなぜそのような発言をする必要があるのか、理解できない」と述べた。イランの内政の複雑さに言及し「彼らは自分たちで対処するだろう。しかし、我々は彼らが合意したことを知っており、今や彼らが履行するか、しないか、どちらかだ」と明言した。
交渉をめぐって双方が公然と示す姿勢自体が、交渉の一部と言える。しかし、こうした公然の衝突が続けば、最終的に交渉全体が頓挫するリスクが高まるという点が問題だ。
イランの外交官たちは、米国とのいかなる関与にも反対する強硬派に直面しているため、米国側が主張する譲歩を縮小したり、否定したりする動機がある。一方、米国の交渉代表であるバンス副大統領も、確認が難しいか、署名された合意文書の内容を超える主張をしてきた。
バンス副大統領が22日、イラン資産が凍結解除される場合、米国とカタールの当局者がその過程に対する承認権を持ち、その資金は米国の農産物の購入に使われることになると述べたのが、その一例だ。
イラン当局者たちは、イランが凍結解除の資金を米国の農産物に使わなければならない義務があるとか、資金の使用の方法についてイラン以外の主体が管理権を持つという主張を、繰り返し否定してきた。イラン中央銀行のアブドルナーセル・ヘンマティ総裁は22日、イランは署名された覚書に従って米国の農産物を購入する「いかなる義務も」ないと、バンス副大統領に反論した。
ただ、イラン外務省のバガーイ報道官は23日、イランが凍結解除の資金で米国の農産物を購入する可能性を排除しないとしながらも、その決定はイランが下すと述べた。
互いに食い違う主張は、トランプ大統領がイランにホルムズ海峡を封鎖すれば爆撃を再開すると脅したため、イランの交渉団が交渉の場を立ち去ったのかどうかといった、ささいな詳細にまで及んでいる。
バンス副大統領は22日、イラン側の退場の脅しにもかかわらず、外交官たちが午前1時を大きく過ぎても交渉を続けたと述べた。しかし、バガーイ報道官は、トランプ大統領の脅しの後、イランの外交官たちが米国側との直接の面談を拒否し、代わりに仲介者を通じてメッセージをやり取りしたと述べた。













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