
米連邦最高裁は30日、政党が候補者と連携して選挙支援に支出できる金額の上限を撤廃した。
この訴訟は、J・D・バンス副大統領らが2022年に上院議員だった当時、共和党上院全国委員会などとともに、関連法が合衆国憲法修正第1条に違反するとして提起したものだ。
保守派が多数を占める最高裁はこの日、6対3で支出上限の撤廃を認める判決を下した。
「政党の役割強化」vs「政治腐敗を助長」
ブレット・カバノー判事は、「従来の判例が支出上限を維持したことで、外部団体が政党に対して不当かつ不公平な優位性を得る結果となっていた」と指摘した。 さらに、「この制限を維持することは、政党を外部団体よりも二流の存在にとどめることにつながる」としたうえで、「政党の弱体化は政治制度をゆがめる」と判決の趣旨を説明した。 一方、反対意見を示したリベラル派のエレナ・ケーガン判事は、「選挙資金改革を崩壊させる判決だ」と批判し、「今回の判決により、政治腐敗を防ぎ、民主的正統性を維持することがますます困難になる」と警告した。 共和党は、「裁判所は候補者との共同支出に対する違憲な制限を撤廃し、政治的表現の自由を回復するとともに、政党が公平な競争条件の下で活動できるようにした」と歓迎した。 一方、民主党は、この判決が資金調達で民主党候補に後れを取ってきた共和党の連邦議会候補を支援する追い風になると受け止めている。 民主党は、「共和党の政策により大きな影響力を及ぼそうとする億万長者の献金者や特定利益団体の勝利であり、政治腐敗を助長するものだ」と批判した。 CNNによると、最近公表された資料では、共和党は民主党全国委員会(DNC)よりもはるかに多くの現金を保有していることが明らかになった。 近年、主要な下院選挙区では民主党候補が小口献金を背景に共和党候補を上回る選挙資金を集めてきた。 今回の判決により、共和党の選挙委員会は民主党候補の草の根募金による優位性に対抗しやすくなり、11月の中間選挙でも共和党に有利に働くとの見方が出ている。
連邦法上の政党規制緩和で役割拡大へ
CNNなど米メディアは、今回の判決により、政党は今後、候補者支援のために事実上制限なく資金を支出できるようになったと伝えている。
最高裁はこれまで、選挙資金規制は腐敗防止という目的に資するとして支持し、政治的表現や結社の自由を制限するだけの十分な理由になると判断してきた。
しかし一方で、政党への支出規制が選挙における政党の役割を弱めてきたとの指摘もあった。
候補者支援のために無制限の資金を集めて支出できるスーパーPACの登場により、特定候補と正式な連携を持たない外部団体の選挙支出が、政党の支出を大きく上回るようになったためだ。
とりわけオンライン献金の普及により、候補者は小口献金への依存を強め、資金基盤が政党から個々の支持者へと移りつつあった。
今回、政党の支出規制が撤廃されたことで、今後の選挙では政党による支出が数十億ドル(約6,500億~1兆6,000億円)規模で増加する可能性があるとの見方も出ている。
これまで連邦選挙資金法は、さまざまな形で政党を規制してきた。
個人が政党へ寄付できる年間上限は定められており、2025年時点では州・地方政党委員会に対して1万ドル(約162万5,000円)、全国政党委員会に対して4万4,300ドル(約720万円)までに制限されている。
また、政党は企業や労働組合から、党運営資金、いわゆる「ソフトマネー」を受け取ることも禁止されていた。
今回撤廃されたのは、政党が特定候補を支援するために支出できる金額の上限規制である。
最高裁、選挙資金規制の緩和を加速
近年、最高裁は選挙資金規制について相次いで違憲判断を示してきた。 数年前には、選挙後の資金を候補者本人の選挙資金借入金返済に充てることを制限する規定について違憲と判断した。 2014年には、献金者が2年間にすべての候補者や政党へ寄付できる総額の上限も撤廃した。 さらに、企業による候補者支援への無制限の支出を認めた「シチズンズ・ユナイテッド対連邦選挙委員会(FEC)」判決も下している。 共和党側は、政党の支出上限制度は、最高裁が近年示してきた選挙資金法に対する判断基準と整合していないと主張した。また、この制度によって献金者の資金がスーパーPACなどへ流れることで、かえって政治制度をゆがめているとも訴えた。













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