3時間で1年分の雨…中国最大の砂漠で洪水発生

「死の海」と呼ばれる中国最大のタクラマカン砂漠に記録的な豪雨が降り、気候変動の新たな警告信号となっている。わずか3時間で年間降水量を上回る雨が降り、砂漠でも洪水が発生した。専門家は「単なる異常気象ではなく、極端な気候が日常になりつつあることを示すサインだ」と警鐘を鳴らしている。
今月に入り、中国・新疆ウイグル自治区ホータンをはじめ、新疆南部・北部、西部、天山山脈一帯で強い雨が続いた。中でもホータンでは記録的な集中豪雨に見舞われた。
気象データによると、19日から21日にかけて、ホータン地域の201カ所の観測所のうち113カ所で24.4~94.9ミリの降雨を観測した。
特にホータン国家気象観測所では24時間降水量が64.7ミリを記録し、観測史上最高を更新した。これは同地域の年間平均降水量48.1ミリを上回る水準だった。
さらに驚くべき記録も確認された。
20日午前11時から午後2時までのわずか3時間でホータンに降った雨は53.8ミリに達し、平年1年分の降水量を上回った。
今回の豪雨は、アラビア海から流れ込んだ暖かく湿った空気と、バイカル湖周辺から南下した寒気がタリム盆地上空でぶつかり、さらに天山山脈と崑崙山脈の地形の影響を受けて発生したと分析されている。
その後、山地に降った雨と高地の雪解け水が合流し、谷や河川を通ってタクラマカン砂漠南部へ流れ込んだことで、「砂漠洪水」が発生した。
今回の豪雨は、これまでの気候に対する常識を覆す出来事となった。SNS上では「砂漠が緑地になるのではないか」「湖が再びできるのではないか」「地下水が回復するのではないか」といった期待の声も上がった。
しかし、現地の住民は異なる受け止め方をしている。
ホータン地域の農家は「収穫を控えた小麦畑が冠水し、芽が出始めた」「今年の収穫が台無しになるのではないかと心配している」と話し、雨が止むことを願っている。
中国・西北農林科技大学の章数語副教授は「砂漠に降る豪雨は両面性がある」としたうえで、「乾燥地帯にとっては貴重な水資源となり、植生の回復や地下水の涵養につながる可能性もある。ただ、重要なのは『いつ』『どのような形で』降るかだ」と説明した。
さらに「砂漠で洪水が起きたからといって、安全というわけではない」と指摘した。「普段ほとんど雨が降らない地域では、排水設備や河川の治水能力が十分ではなく、住民にも災害対応の経験が少ないため、被害がさらに拡大する恐れがある」と警告した。
ホータンの住民も口をそろえて「今年の雨は例年とはまったく違う」と話す。
ある住民は「以前は小雨が少し降ればすぐに止んでいたが、今年は雨が頻繁に、しかも大量に降る」と話した。豪雨が小麦の収穫時期と重なったことで、倒れた小麦は雨に濡れて品質が低下し、家では雨漏りも始まったという。
一部の農家では数十畝の農地が冠水し、家畜が流される被害も確認されている。
専門家は、今後農業が直面する最大のリスクは単なる干ばつや洪水ではなく、「降雨のタイミング」になるとの見方を示している。
最近では、春先に干ばつが続いた後、秋の収穫期に集中豪雨が降る現象が繰り返されている。実際に2023年には河南省で、小麦の収穫期に長雨が続き、大きな被害が発生した。2025年にも春の干ばつと秋の長雨が相次ぎ、農業生産に支障が出た。
最大の問題は、現在の気候モデルが予測する以上に、実際の極端な気象現象がより深刻に現れていることだ。さらに、長期間にわたって蓄積された観測データも十分ではないため、正確な予測には限界がある。
専門家は、砂漠に雨が降ったからといって、そのすべてが土壌に染み込むわけではないと説明している。乾燥地域では、雨の強さが土壌の吸収能力を上回ると、雨水の大部分がそのまま地表を流れ、短時間で谷や河川に集まる。長い干ばつで乾ききった土壌は雨水を十分に吸収できないため、道路や農地、住宅地で急激な洪水が発生する可能性がより高くなる。
また、山岳地帯では集中豪雨と氷河の融解水が重なることで、突然の土砂崩れや急流が発生する危険もある。
専門家は、「砂漠の洪水は、近くで見物するような自然現象ではなく、極めて危険な災害だ」とし、「気候変動の時代には、これまで安全だと考えられていた場所でも新たな危険が現れる可能性があることを覚えておく必要がある」と強調した。














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