国内製造業PMI、6月は54.8に上昇 新規受注は約4年半ぶりの大幅増

国内の製造業は6月も明確な拡大基調を維持した。中東情勢を背景にサプライチェーンの混乱や原材料価格の上昇への懸念が高まるなか、顧客企業が在庫を積み増したことで、新規受注と生産が大幅に増加した。
トレーディング・エコノミクス、インベスティング・ドットコム、Yahoo! JAPANによると、S&Pグローバルは1日、2026年6月の日本製造業購買担当者景気指数(PMI、確報値)が54.8となり、前月から0.3ポイント上昇したと発表した。速報値の54.9からは0.1ポイント下方修正されている。
PMIは、景気拡大と景気縮小の分かれ目とされる50を6か月連続で上回った。2022年1月以来51か月ぶりの高水準を記録した4月の55.1に近い。
業種別では、原材料を加工して他社に供給する中間財メーカーの改善が最も目立った。消費財メーカーと資本財メーカーでも生産と受注がそろって増え、製造業全体で拡大基調が続いている。
生産は増加を続け、その伸びは2022年1月以来で2番目に速かった。企業は、売上の増加が生産拡大を促したと説明している。
総需要は2022年初以来、約4年半ぶりの高い伸びを示した。中東での戦争による供給混乱や価格上昇に備えた顧客企業の在庫確保が新規受注の増加を支え、基調的な需要環境にも改善がみられた。
新規受注は2022年1月以来で最も速いペースで増えた。新規輸出受注の伸びは5月からやや鈍化したものの、海外需要は引き続き底堅さを保った。
サプライチェーンへの負荷は依然として大きい。企業は、中東での戦争の影響で仕入先における資材不足と輸送の遅延が続いていると伝えている。仕入先の納期の遅れは4月と5月に比べればやや緩和したが、依然として記録的に速いペースで悪化した。
購買活動は活発だった一方、供給不足が在庫の積み増しを制約した。購買品在庫の伸びは2年ぶりの高水準となったものの、増加幅は限られた。反対に完成品在庫は、企業が既存在庫を顧客の受注処理に優先して充てたため、22か月連続で減少している。
サプライチェーンの混乱と資材不足により、物価への圧力は大きく高まった。エネルギー、燃料、原材料の価格上昇を受け、投入コストの上昇率は5月に記録した44か月ぶりの高水準と同水準に並んだ。
販売価格の上昇率は5月からやや鈍化したが、調査開始以来の高い水準を維持している。企業は採算の悪化を防ぐため、販売価格の引き上げを続けている。
生産能力の拡充に向けた採用も続いた。雇用は2018年4月以来で最も大きく増えた一方、受注残の増加が続くなか、生産能力の不足も解消していない。未処理受注の増加率は2014年2月以来の最大となった。
企業は今後1年間の生産増加をおおむね見込んでいる。AI(人工知能)と半導体関連の需要拡大、設備投資の増加、地政学的な不確実性が和らぐことへの期待が、楽観的な見方の背景にある。
ただ、中東情勢、高いコスト負担、人手不足への懸念が心理を抑え、企業の景況感は長期平均を下回った。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは「4〜6月期の製造業景況は、顧客需要の明確な改善を受けて生産が堅調に拡大し、AIと半導体関連の需要を背景に新規受注が約4年半ぶりの速いペースで増えたことで、12年余りぶりの高水準に達した」と評価した。
さらに「中東情勢に対応した企業による在庫の積み増しが、景況を一部下支えした側面がある。輸送の遅延と供給不足で納期の悪化が続き、投入コストと販売価格も急速に上昇した結果、インフレ圧力は調査開始以来の最も高い水準を維持した」と説明している。
同社は「コスト上昇が続き、顧客の購買余力がさらに低下すれば、短期的な在庫積み増し需要が近いうちに沈静化する可能性がある。製造業の好調が2026年下半期にも続くかは、なお不透明だ」との見方を示した。













コメント0