「米軍の“逃げ場”が消えた」…イランが突いた“中東防衛の盲点”
「米軍基地が集中攻撃」5日間で4度被弾…兵士数十人負傷、ブラックホーク多数損傷

イランがヨルダン国内の米軍基地を5日間で4回攻撃し、米軍のUH-60ブラックホークの相当数が被害を受けたと伝えられた。米軍当局者らは、イランが依然として十分な数のミサイルを保有しているうえ、米国の防空網を回避する能力も高めているとみている。
18日(現地時間)の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、イランは直近5日間にヨルダン駐留米軍への攻撃を4回繰り返したという。一連の攻撃で米兵2人が死亡し、1人が行方不明となったほか、数十人が負傷した。米軍が運用していた複数のヘリコプターも損傷した。
米当局者らは、作戦上の事情を理由に匿名を求めた。米国防総省は、個々の攻撃による被害規模や詳しい経緯を明らかにしていない。
最初の攻撃では、ヨルダンのキング・ファイサル空軍基地内にある米軍宿舎が狙われ、米兵最大5人が負傷した。
続いてイランは、ヨルダン東部にある別の基地を攻撃した。当時、同基地では米陸軍のUH-60ブラックホークが作戦を展開していた。米当局者らは、攻撃によってブラックホークの相当数が損傷したと伝えている。被害を受けた正確な機数や損傷の程度は公表されていない。
防空壕へ避難中の米兵約20人が負傷

イランはその後、ヨルダン東部アズラクにあるムワッファク・サルティ空軍基地を相次いで狙った。最初に飛来したミサイルにより、空襲警報を受けて防空壕へ避難していた米兵約20人が負傷した。この攻撃による死者は確認されなかった。
しかし、イランは17日、同じ基地を再び攻撃した。米兵2人が死亡し、4人が負傷したほか、1人が行方不明となった。ほかの兵士も軽傷を負っていないか検査を受けた後、任務に復帰している。
イラン陸軍は、アズラクの米軍基地にある燃料タンクを狙ってドローンを発射したと主張した。イラン革命防衛隊も、ミサイルとドローンを使って基地内の航空機格納施設を攻撃したと発表した。
米軍は攻撃直後、イランに対する報復空爆に踏み切った。ホルムズ海峡を航行する船舶を脅かすイランの能力を低下させるとともに、ヨルダン駐留米軍を攻撃したイラン革命防衛隊の部隊に報復するため、攻撃を実施したと説明している。
今回の一連の攻撃は、イランのミサイル戦力が想定ほど速く消耗していないことも浮き彫りにした。米当局者らは、イランが依然として相当量のミサイルを備蓄しており、最近では米国の防空システムをかわして標的へ接近する能力も向上させたと分析した。
安全地帯とみられたヨルダンも新たな前線に

ヨルダンは、米国が中東で展開する軍事作戦の重要拠点として位置付けられている。米国防総省は戦争の前後に、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどに配備していた兵力と軍用機を、比較的安全だと判断したヨルダンとイスラエルへ移した。
一部の中東同盟国が米軍の駐留や領空使用を制限するなか、ヨルダンの重要性は一段と増した。ヨルダンからは、シリアやイラクをはじめとする中東全域へ航空作戦を展開しやすい。
しかし、イランはこうした米軍の分散配置を逆手に取り、ヨルダンへの攻撃を集中的に加えている。イランは6月に米国と停戦で合意した後、7月初めからヨルダンにまで攻撃範囲を広げた。
米空軍のデービッド・デプチュラ元中将は、今回の攻撃について、単なる軍事基地への打撃にとどまらないと評価した。イランは、米軍受け入れに伴うヨルダンの政治的負担を増大させ、米国が中東で構築してきた連携体制を揺さぶろうとしていると分析している。
ブラックホークは、兵員輸送や負傷者の後送、特殊作戦支援、物資補給、指揮統制などに投入される米陸軍の主力機動ヘリコプターだ。米軍が前方基地に配備したヘリコプター戦力を分散させたり、十分に防護したりできなければ、イランによる追加攻撃が発生した際、作戦運用に支障が出る可能性もある。















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