「崖っぷち英国を立て直せ」…わずか1か月で首相になった男の“危うい船出”
下院復帰から党首就任、首相就任までわずか1か月

20日(現地時間)、英国の第59代首相に正式就任するアンディ・バーナム氏は、低迷する経済の立て直しをはじめ、国防費の増額、移民政策、福祉改革に至るまで、山積する課題を背負うことになる見通しだ。
バーナム氏はこの日、ダウニング街10番地の首相官邸に入り、毎日数十件に上る国政課題について決定を下すほか、閣僚間の対立を調整し、政府を代表する政治指導者としての役割を担わなければならない。
しかし、首相就任に向けた準備期間は比較的短かった。5月の地方選挙で与党・労働党が大敗し、キア・スターマー前首相への辞任圧力が強まった後、6月18日に下院補欠選挙で当選し、7月17日に労働党の新党首に就任した。首相官邸入りまで、わずか約1か月しかかからなかった。
ただ、バーナム氏は15歳で労働党に入党し、議会調査員や秘書を経て、2001年に31歳で下院議員に初当選した後、17年間にわたり議員を務めた。また、トニー・ブレア政権とゴードン・ブラウン政権では、文化相、保健相、財務省首席副大臣、内務副大臣、保健副大臣を歴任した。さらに2017年にマンチェスター市長に就任し、2021年と2024年にはグレーター・マンチェスター市長に再選されるなど、中央政府と地方行政の双方で経験を積んだ。
米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は、バーナム氏の前に立ちはだかる最も差し迫った重大な課題として、次の5項目を挙げた。
低迷する経済
2008年の世界金融危機以降、長年停滞してきた生活水準が、ブレグジット(英国の欧州連合〈EU〉離脱)と新型コロナウイルス禍によってさらに悪化する中、バーナム新首相は英国国民の生活を実質的に改善する方策を打ち出さなければならない。バーナム氏は、労働党が2024年の総選挙で掲げた公約どおり、主要な税金は引き上げない方針を示しているが、景気回復と財源確保という二つの課題を同時に抱えることになった。
その中でも重要な判断の一つが、財務相の人選だ。海外メディアによると、現在、最有力候補としてシャバナ・マフムード内相の名前が挙がっている。
戦争、米国との「特別な関係」
ウクライナ侵攻の長期化と中東情勢の激化により、外交政策は避けて通れない国政上の優先課題となった。現時点では、スターマー前首相の国家安全保障担当補佐官を務めたジョナサン・パウエル氏が留任するとみられており、外交基調は大きく変わらないと予想されている。
スターマー前首相はドナルド・トランプ米大統領と親交を深めたが、米国によるイラン攻撃への全面的な支持を拒否したことで、トランプ大統領の怒りを買った。米国は依然として英国にとって最も重要な安全保障上のパートナーだが、英国国内ではトランプ大統領の人気は非常に低い。バーナム首相は、国益と国民感情の間で、先の読めないトランプ大統領との関係をどのように築いていくかを決めなければならない。
国防費の追加確保
国防費の増額規模を巡る対立により、ジョン・ヒーリー前国防相は先月辞任した。その後、スターマー前首相は、今後4年間で国防費を150億ポンド(3兆2,743億5,000万円)増額する方針を発表した。しかし、財源をどのように確保するのか、どの省庁の予算を削減するのかといった具体的な内容は、バーナム新首相に委ねられた。
移民政策
保守党政権末期に導入され、その後、労働党政権にも引き継がれた規制強化策により、英国の純移民数はここ数年で大幅に減少した。バーナム首相も、純移民数はさらに減らすべきだとの考えを示し、スターマー政権の強硬な政策を引き継ぐ意向を示唆した。しかし、合法移民の永住権取得要件の厳格化などは、労働党内のリベラル派議員や支持層の反発を招いており、バーナム首相は政治的な妥協点を見いださなければならない。
福祉・年金支出の増加
英国では福祉支出が増え続けている。若年層の無職者を中心に、就労年齢層によるメンタルヘルス関連の福祉給付申請が増えていることに加え、高齢化の進行や、物価上昇率、賃金上昇率、固定率のうち最も高い割合に基づいて年金の引き上げ率を決める「トリプルロック制度」により、年金支出が急増しているためだ。
こうした福祉支出を抑制できれば、バーナム首相の主要公約である賃貸住宅の建設など、主要政策に必要な財源を確保できる。ただ、スターマー前首相が進めようとした福祉給付の受給資格を制限する試みも、労働党内の強い反発に直面して頓挫した経緯がある。そのため、バーナム政権の福祉改革も、政治的に極めて難しい課題となる可能性がある。
















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