「核のパンドラの箱を開けた」米国がサウジのウラン濃縮を“事実上容認”、中東に激震

米国がサウジアラビアと原子力協定を正式に締結したことで、中東情勢に大きな波紋が広がると予想される。イランの核保有を阻止するという名目で中東戦争に乗り出した米国が、域内のライバルであるサウジにはウラン濃縮の権限を認めた形となり、中東で軍拡競争を引き起こす可能性があるとの懸念が出ている。
米エネルギー省は22日(現地時間)、クリス・ライト米エネルギー長官と、サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマン王子兼エネルギー相が、平和的原子力協定と、それに伴う二国間保障措置協定に署名したと正式に発表した。2年間にわたる両国の共同研究でウラン濃縮の妥当性が確認された場合、米国企業がサウジにウラン濃縮施設を建設できるようにすることが協定の柱となる。
ドナルド・トランプ米大統領は23日、サウジがイスラエルとの関係を正常化する「アブラハム合意」に加わることが、原子力協定の前提条件になると明らかにした。
米政権は協定の具体的な内容を公表していない。ただし、ニューヨーク・タイムズ(NYT)などの報道を総合すると、米国がサウジに原子力発電所を建設し、原発燃料に使うウランの濃縮技術と、使用済み核燃料の再処理技術を移転する一方、濃縮と再処理には米国だけがアクセスできる「ブラックボックス」方式が検討されている。
特に、サウジはウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理を禁じる、いわゆる「ゴールド・スタンダード」を拒否した。国際原子力機関(IAEA)による監視や査察も受けないとみられる。米国は、こうしたサウジの強硬な立場を相当部分受け入れたとされる。
米国はこれまで、核不拡散を基本方針とし、IAEAの厳格な査察を受ける場合に限って、ウラン濃縮を例外的に認めてきた。このため、サウジとの協定は異例だとの評価が出ている。
米国とサウジは、今回の協定が平和利用を目的とし、核兵器の開発にはつながらないと強調した。しかし、中東における「核ドミノ」への懸念は高まっている。サウジによるウラン濃縮が事実上認められたことで、2009年に米国と原子力協定を締結したアラブ首長国連邦(UAE)は、「ゴールド・スタンダード」に基づく既存協定の改定を求める可能性が高い。
また、非公式ながら中東で唯一の核保有国として軍事的優位を維持してきたイスラエルや、サウジと対立するイランが強く反発するとみられる。
一方、今回の協定が両国に実益をもたらす「ウィンウィン」だとの分析もある。NYTは、原子炉の建設には10年以上かかり、完成後も米国の原子力技術が使われるため、米国は両国間の安全保障上の結び付きと商業関係を強化できると分析した。サウジも、石油依存型の経済構造を多角化できるだけでなく、米国との戦略的同盟をさらに強固にする機会を得た。
米アラブ湾岸諸国研究所のクリスティン・ディワン上級研究員は、「サウジを米国により近く結び付けるという点で、商業的、地政学的に大きな勝利だ」としながらも、「国際的な核不拡散体制が受ける打撃は相当大きい」と指摘した。















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