
【引用:gettyimagesbank】爆雪級の荒天は、単なる不便では終わらず、路面管理が追いつかない区間で連鎖的なスリップを引き起こし、交通を麻痺させる。冬の路面では運転技術の巧拙以上に、車両の準備が安全性を左右する。気温が氷点下に下がると主要部品の性能は一斉に落ち、バッテリー出力は低下し、タイヤは硬化してグリップを失う。冬季点検は快適装備の話ではなく、事故を防ぐための基本条件だ。

【引用:gettyimagesbank】最優先で確認したいのがバッテリーである。冬の始動不良の多くは性能低下が原因で、低温では内部反応が鈍り、出力は夏場比で30〜50%まで落ちることがある。セルの回りが弱い、回転が長引く、メーターパネルや室内灯の明るさが不安定、アイドリング時にヘッドライトがぼやけるといった兆候が出たら点検や交換を検討したい。一般的には使用年数が進んだ個体や電圧が下がった状態は要注意で、ドラレコなど常時電源を使う車両ほど定期的な電圧チェックが有効だ。近年はインジケーター付きも多く、日常点検の助けになる。

【引用:gettyimagesbank】タイヤは空気圧・摩耗度・季節適合の三点で見る。低温でゴムが硬くなるほどロードホールディングは低下し、さらに気温低下で空気圧も自然に下がる。適正より大きく低い空気圧では制動距離が伸びることが確認されており、月1回以上の点検が基本だ。トレッドは摩耗限界に達する前に交換し、氷点下が続く環境では冬タイヤの装着を検討したい。冬タイヤは低温域で制動力と旋回安定性が向上し、駆動方式を問わず前後セット装着が前提となる。併せてクーラントは冷却だけでなく凍結・腐食防止の要で、凍結は重大損傷につながる。不凍液と水はおおむね5対5で、ほとんどの冬の気候に対応できる。寒冷な地域へ頻繁に出向く場合は、6対4で不凍液濃度を高めるのも一案だ。ウォッシャー液も冬用へ切り替え、ノズル凍結時は熱湯を避け、ぬるま湯で対処したい。

【引用:gettyimagesbank】視界を守るワイパーは消耗品として扱う。冬は雪や霜、凍結防止剤で使用頻度が増え、ゴムの硬化や裂けがガラス傷の原因にもなる。作動音、拭き筋、拭き残しが出たら交換時期のサインだ。スノーワイパーは着雪しにくいが、コストや季節交換の手間も踏まえて選びたい。最後にブラックアイスバーン対策として、速度は通常より20〜30%落とし、車間距離は2〜3倍、急操作を避ける防御運転が基本。滑り始めた場合は強い制動を避け、当て舵で姿勢を整えつつエンジンブレーキで段階的に減速するのが安全だ。













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